What do you mean by thinking?(考えるとは?)(*注1)
のび太:ねぇ、ドラえもん。考えるって、何をすることなの?
ドラえもん:どうしたの、急に?
の:考える時、何をしているのかなってこと。
ド:まさにいま、頭を働かせて、何か考えているんでしょ?
の:脳の中で細胞がどんなふうに動いているかとかじゃなくて。
ド:あーそうか。具体的に何をすることが考えることかって?
の:そうそう。本を読むことなの?人の話を聞くことなの?
ド:じぶんの中に取り込む「インプット」は全体の一部。
の:全体の一部?
ド:そう。じぶんの外に出す「アウトプット」があって「考える」ことになる。
の:アウトプット?書いたり、話したりすること?
ド:もっとハッキリ言おうか。
の:そんなもったいぶらないでさ、早く言ってよ。
ド:アウトプットしたものを、またインプットして、アウトプットすること。
の:え、何それ?
ド:じぶんの身体を使って、ことばを出し入れすることだよ。
の:出し入れ?
ド:そう。書いたり、声に出して話したことを取り入れて、また別の形で出す。
の:インプットしただけ、アウトプットしただけ、じゃダメなの。
ド:それが、連続するプロセスが「考える」という行為。
の:なるほどね。でもまだ何だか、何をしているのかピンと来ないなぁ。
白川静さんは、こう言います。
「まず、写す。それから覚える、考えるという順になる。覚えるには、反復が必要。考えるには、比較するものが必要。 考えるとは、比較すること。基準になる対象が頭の中にないと、考えるということはできない。」
の:あれ、写すって何?
ド:読んで書き写す。聞いて書き写す。絵に描き写す。
の:インプットして、アウトプットするんだね。
ド:そう。その次に、それを読み直したり、書き直したり、人に話したりする。
の:あーそうか。そいうプロセスね。
ド:そうすることで、ふたつのものを、比べることができる。
の:ふたつないと比べられないってわけね。
ド:比べるものがないと、気づきようがないから。
の:じゃ、比べることが考えることなの?
ド:比べることなしに考えるっていうふうには言えないね。
の:じゃ、ふだんも、考えているつもりの時は、何かと比べているの?
ド:じぶんでは気づいていなくてもね。
「考える」ということばの語源。
本居宣長によれば「かんがふ」は「かむかふ」だと言います。
相手にむかうこと、むかえること。
考えるとは、単に対象を知ることではありません。
肌身を通じで関わる体験なのです。
の:写すって、ただコピーすることじゃなかったんだね。
ド:じぶんから対象・相手に働きかける行為によって、写しだすってこと。
の:写すことで、比べられる。だから、考えられる。
ド:そのとおり。
の:おなじものをコピーするって、時間のムダだなぁって思ってたよ。
ド:手本をまねて。それにじぶんのやりかたで写す。
の:まず、それ。だれもそんなふうに言ってくれなかったなぁ。
ド:そのあとで、くりかえしたり、ふりかえったり、人とシェアしたり。
の:そういう流れがあるんだね。
ド:その流れが、ぐるぐると循環して続いていくことが「よく考える」プラクティス(実践)。
Think like a man of action. Act like a man of thought.(行動する人として考えよ。考える人として行動せよ)(*注1)
エンパシームメソッドは、その循環をムリなく、ひとりでできるようにガイドします。
具体的な7つのアクション「み・ち・ゆ・く・と・き・よ」は:
(み)プラクティスにみちびく、エンパレットを読む(インプット)
(ち)手本と比べる・まねる(インプット・アウトプット)
(ゆ)エンパシームにゆだね、ふるまいをうつすこと(アウトプット)
(く)もう一度、見て・聞いて、書き写す(インプット・アウトプット)
(と)ふりかえり、書き添える(インプット・アウトプット)
(き)気づいたことをことばにして聞く(アウトプット)
(よ)師や友とことばをわかちあう(アウトプット、インプット)
ふだん、漠然と考えると言っていることも、実は、ひとつの「路」をつくることであり、じぶんで「そのみちをゆく」ことです。
みちゆくときよ。それは、広く、深く、楽しく、かんがえること。
そのこと自体を、身につけることです。
考えるというテーマのエンパレット:
インナースピーチ 心の中のことばを抽出する(1)思考を形づくる内語
気づく③ じぶんをみちびくガイド(エンパレットでじぶんと照らし合わせてみる)
出典・参照:白川静『字訓』『桂東雑記』、小林秀雄『考えるヒント』、『毎プラガイド』
(*注1) Henri Bergsonのことば。