Empathemian『First things first』

You can’t reap what you don’t sow.(タネをまかずに実はならない)

この子は、何を描いているでしょうか?

リンゴです。木いっぱいに実った、リンゴです。
紙の上では、リンゴは、もう実っています。

この絵に描かれているもの。それは、未来です。

きっと実がなる、という期待。
実った姿を思い描く希望。
その身を手にする喜び。

そして、その未来へと続く、長い時間です。

私たちは、まだない世界を思い描くことができます。
描くことで、未知に触れることができます。

けれども、その未来は、描いただけではやってきません。

屋根から家は建てられない|First Things First ②(ものごとには構造がある)」で、お話ししたように、人は「思うモード」と「つくるモード」の二つを同時に生きています。

思うことは、未来から始まります。
つくることは、今から始まります。

けれども、何かを始めるとき、そこには必ず、順序が生まれます

では、「思う」のが先なのでしょうか。
それとも、「つくる」のが先なのでしょうか。

実は、その二つを分けない方法があります。

Empathemian『First things first』

Life is becoming.(人生は、実になろうとする営み).

思いをことばにし、ことばを声にする。 その声が、こんどはじぶんの耳に届く。 届いた声が、また、次の思いになる。(*注1)

声に出したその瞬間、思いは、現実のふるまいになります。 そして、声にしたことばが、こんどは思いを育てます。

出したものが、入る。 入ったものが、また、出る。

「思う」と「つくる」は、もう分けられません。 声の中で回りながら、深まり、広がっていきます。

タネをまくとは、願いを、今日できるプラクティスにすることです。

けれども、タネだけで実がなるわけではありません。

土がいる。 水がいる。 光がいる。
風がいる。虫がいる。手入れがいる。

芽が出る前。芽が出た後。育つ環境と、支えてくれる人がいります。

目に見えるタネだけが、原因ではありません。
そのまわりにある、目に見えない働きもまた、実を育てています。(*注2)

ねがいを声にする。
毎日、ことばをくり返し声に出す。
そして、ひとりで、育てているのではない。

未来は、今日まいたタネと、それを育てるすべてのものから生まれます。

Inspire hope. Cultivate aspiration.(ねがいのタネをまき、思いを育てる。).

⚫︎ あとからダシは入れられない|First Things First ④ ものごとには不可逆がある へ続く(明日配信)

作(文・挿絵・声に出すことば・声):坂口立考
出典・参照:以下のエンパレットノート

(*注1)声に出すとき、ことばはまず脳内で出力されます。脳は、その声がどう響くかをあらかじめ予測し、実際に耳へ戻ってくる声と、瞬時に照らし合わせています。声にしなければ、この照合は起きません。声に出すという、ただそれだけの行為に、これほどの働きが宿っています。

(*注2)ものごとには因果がある。それは、原因と結果が一本の線で、目に見えるままにつながっている、という意味ではありません。ひとつの結果の背後には、いつも複数の条件が重なり合っています。タネがなければ実はなりません。しかし、タネだけでも実はなりません。因果とは、一本の線ではなく、無数の見えない縁が織りなす、ネットワークのことです。

「First Things First シリーズ」:

⚫︎ 歩ける前に走れない|First Things First ① ものごとには順序がある

⚫︎ 屋根から家は建てられない|First Things First ② ものごとには構造がある

⚫︎ タネをまかずに実はならない|First Things First ③ ものごとには因果がある

⚫︎ あとからダシは入れられない|First Things First ④ ものごとには不可逆がある

⚫︎ 鏡の前に立たなければ、じぶんの姿は映らない|First Things First ⑤ 認知には法則がある

⚫︎ 上達に迂回路はない|First Things First ⑥ プラクティスには法則がある

⚫︎ 他人の結果はまねられない。原因をまねよ。|First Things First ⑦ プラクティスには絶対原則がある