修養のイノベーション (2) エンパシームでひらく路

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ネット社会はその恩恵だけなく、気づかぬうちに、何でも操作して「正しい答え」が入手できるかのような錯覚を持ってしまうほどの、大きな影響をもたらしています。また、多くのサービスが対価を直接支払うのではなく、ただで利用し、どこか別の所で、たとえば広告収入などでそのコストがまかなわれています。そのため、私たちの日常では一見、 ただで情報が手に入るような錯覚も生まれます。
 
そのような世界に暮らしながらも、じぶんをふりかえり、身近に関わる人たちとふれあうことの大切さは変わりません。最も肝心なことは、テクノロジー に依存しすぎるのでもなく、また、敬遠するのでもなく、日常生活の中で、じぶん自身をふりかえり、 他者と共感しあえる力を育むこと、その力を社会に活かすことです。

修養のイノベーション (1) エンパシームでひらく路

私は、スマホ登場以前より携帯、スマートフォン の開発に関わりました。全世界にむけ、XPERIA シリーズを含む 200 機種、5 億台の商品、技術 開発を指揮、事業・経営の責任者をつとめました。
 

そこで、テクノロジーと人間の間に、ある溝が広 がり、人間の心の中にも溝をつくっていることに気づきました。その溝は、技術のあり方だけでなく、人間に備わった本来の力を引き出す総合的な方法なしには、克服できないことを痛感したのです。

 

2012 年、米国シリコンバレーに SomniQ, Inc を設立して以来、従来とは異なる総合的なアプロー チを独自の研究開発によって模索してきました。そ れが、人間と機械が共に働き、自然な流れで「間」をつくることで、ふだんは気づいていない人間の力を引き出す方法「エンパシームメソッド」です。

心の溝を克服するために (1)

人間とテクノロジーのみぞ

ますます高度化・複雑化するテクノロジーと人間の生来の能力はギャップは大きくなっています。

テクノロジーが生活を便利にしてくれる恩恵。
人間ができないことをテクノロジーがやってくれ、人間の生活が豊かになるのなら、それでよいではないか。
そんな暗黙の前提で進んでいる現代社会。

どこに問題があるのでしょうか?

それは、人間の本来の力が社会に活かされにくくなっていることです。
そのこと自体が気づきにくく、わたしたちが無自覚にいることが切実な問題です。

自然を活かす

テクノロジーって何だろう?
ブライアン・アーサーさんは、こう語ります。

「一般的には、テクノロジーとはサイエンスの応用、経済でつかわれる機械類と方法論の学問、工業プロセスに関して社会がもつ知識、 工学技術(エンジニアリング)の実践法といわれる。

私たちはテクノロジーについて多くを知っているが、同時にほとんど知らない。テクノロジーの全般的理解がないからである。個々のテクノロジーの方法と手順の特性、使っている機械についてはすべてを知っている。

しかし、内容について知っているのに、原理について知らないということは、珍しくはない。テクノロジーの理論、テクノロジーの「学」が存在しないのだ。科学はテクノロジーを使うだけではなく、テクノロジーからできている。」