Empathemian『Beat』

Rhythm first. (リズムが先)

⚫︎ 速すぎる!と感じるのはなぜか?

英語を聞くと、速すぎて音が聞き取れない。

セリフを文字で見れば、知っている単語ばかり。それでも、同じ速さで言おうとすると、口が回らない。

なぜでしょうか?

英語のセリフには、長く、はっきり出す音がある一方で、その間に、ごく短くなる音があります。
いくつもの音が、わずかな時間にぎゅっと入ることもあります。

一つひとつの音を同じような長さで出していたら、時間に収まりません。

英語の速さについていくカギは、速く言うことではなく、短い音を短くすることです。

では、どのくらい短くするのか。

その時間のものさしになるのが、ビートです。

⚫︎ ビートは、時間のものさし

「ビート」と聞くと、手拍子やドラムの音を思い浮かべるかもしれません。

でも、ビート(Beat)は、叩いた音そのものではありません。

タン  タン  タン  タン

手を打ったタイミングから、次に打つタイミングまで。その一定の時間間隔がビートです。

ビートとは、時間を等間隔に刻むものさしです。(*注1)

Fit to the beat. (ビートに乗せて言う)

⚫︎ 同じ時間に、入る音の数が変わる

英語では、一つひとつの音が同じ長さではありません。

長く、はっきり出る音があります。その間には、ごく短くなる音があります。

短くなれば、同じ時間の中に、たくさんの音を入れられます。

つまり、英語では音の密度が大きく変わります。

⚫︎ 長い音がある(母音が長い)
⚫︎ 短い音がある(母音が短い)
⚫︎ 短い音が続くところでは、一気に音が密になる。

この伸び縮みが、英語の速さをつくります。

⚫︎ 音の長短を聞いてみる

どの音も、同じ長さで並んでいるでしょうか?

長く、はっきり聞こえるところがあります。
その間には、短くなって、すぐ次の音につながるところがあります。

文字を目で追うのではなく、まず、その長短を聞いてください。

Replicate the whole. (セリフ全体をまねる)

手本を聞いて、セリフ全体をまねます。

一語ずつ区切って言わず、聞こえたリズムをそのまま声にします。

うまく収まらなければ、どこで音が余っているかに気づいてください。

短くするところを短くしないと、手本と同じ時間には収まりません。

⚫︎ 英語は、ストレスからストレスまでを刻む

英語は、Stress-timed rhythm(強勢拍リズム)をもつ言語です。

長く、はっきり出すストレスのある音が、リズムの目印になります。そして、ひとつのストレスから次のストレスまでの間隔が、おおよそ一定になるように話します。

その間に入る音が少なければ、ゆったり言える。
音が多ければ、短く縮めて入れる。

つまり、音の数にあわせて時間を伸ばすのではなく、限られた時間にあわせて音の長さを変えるのです。

一方、日本語はMora-timed rhythm(モーラ拍リズム)です。

英語と日本語では、時間の使い方が違います。

英語では、ストレスからストレスまでの時間にあわせて、間の音を伸び縮みさせる。
日本語では、音の単位を比較的均等な時間で並べる。

この違いが、英語の短い音を聞き取りにくくし、同じ速さで言おうとしたときに「口が回らない」原因になります。

Shorten it to the beat. (ビートにあわせて音を縮める)

⚫︎ 日本語の長さのままでは、入りきらない

一方、日本語はMora-timed rhythm(モーラ拍リズム)です。

「か・き・く・け・こ」のように、モーラという小さな単位をほぼ均等な長さで並べます。

その時間感覚のまま英語の音も一つずつ出すと、ストレスから次のストレスまでの時間に入りきりません。

⚫︎ 音が余る。
⚫︎ 追いつかない。
⚫︎ 口が回らない。

速く言おうとして、さらに急いでも解決しません。

必要なのは、リズムにあわせて音を端折ることです。

⚪︎ 長く出す音は長く。
⚪︎ 短い音は、思い切って短くする。
⚪︎ 弱くする。つなげる。音そのものを落とすこともある。

手本とじぶんの声を聞き比べてみてください。

じぶんは出しているのに、手本ではほとんど聞こえない音はありませんか?

文字にある音を、一つ残らず言おうとしていたことに気づくかもしれません。

ビートという時間の枠にあわせて、音を端折る。

それができると、セリフ全体のリズムが、ぐっと手本に近づきます。

日本語耳と英語耳の違いについて、詳しくはこちらから:

(*注1) メトロノームが刻む音も、この時間間隔を示しています。BPM(Beats Per Minute)は、1分間にいくつのビートがあるかを表します。

⚫︎ 身体(運動
① 身体全体で声に出す (Vocalize)
② 小分けにしてまとまりにする (Chunk)
③ セリフをビートに乗せる (Beat)

⚪︎ 脳(認知・想起
④ 瞬間の処理力を鍛える (Process)
⑤ 文字ではなく、情景を思い出す (Recall)
⑥ スローにして比較する (Contrast)

◎ 心(自走・再帰
⑦ いつもセリフを口ずさむ (Internalize)

英語耳°を獲得するプラクティス|Recursion(リアルタイムの音声認知・再現力を鍛える練習ループ)

⚫︎ 英語耳°を獲得するプラクティス|Recursion①身体を使って声に出す(Vocalize)
⚫︎ 英語耳°を獲得するプラクティス|Recursion② 小分けにしてまとまりにする(Chunk)
⚫︎ 英語耳°を獲得するプラクティス|Recursion③ セリフをビートに乗せる(Beat)
⚫︎ 英語耳°を獲得するプラクティス|Recursion④ 瞬間の瞬発力を鍛える(Process)
⚫︎ 英語耳°を獲得するプラクティス|Recursion⑤ 文字ではなく、場面を思い出す(Recall)
⚫︎ 英語耳°を獲得するプラクティス|Recursion⑥ スローにして比較する(Contrast)
⚫︎ 英語耳°獲得のプラクティス|Recursion⑦ セリフをいつも口ずさむ(Internalize)

作(文・挿絵・声に出すことば・声):坂口立考
出典・参照:以下のエンパレットノートなど