Iteration matters most for learning.(学びのエッセンスは、くりかえし)
マトリョーシカ人形をご存知ですか?
体の中央を上下に開けると、中にひと回り小さい人形が入っている。
その人形をあけると、また小さい人形が。というふうに、入れ子の人形がくり返されます。
入れ子がくり返されることを「
マイケル・コーバリスさんは、この再帰が、人間の最大の特徴であり、進化の原動力であったと説きます。
「人間の脳内の1兆のニューロン、ひとつのニューロンで3万もの接続で起きている再帰現象。
言語・数・記号をつかって抽象化できるのも、再帰の働きがある。(*注1)
人間は、考えの中に考えを埋めこみ、プロセスの中にプロセスを入れて発展させることができる。」
くりかえすとは、くるくる回るように、続けること。
「くるくる」とは、出たところに戻ってくること。
反復し、それが持続すること。
出力したものが、次の入力になり、それが次の出力を生み、そこで出されたものが次の入力になります。
つまり、出力を入れ子にして、入力し、次に、
そこで出力したものを、入れ子にして、入力するというふうに。
括り・まとまりをつくって、それをぐるぐると続いていくことです。
くりかえし、は循環する「しくみ」。
それは、再帰的な機能をもった脳の働き、というよりも、そもそも、自然の営みが再帰的なのです。だから、自然の一部である人間の身心と、環境の相互作用も再帰的です。
ふだんの生活の中で、再帰的くりかえしという、自然の力を活かす方法があります。
エンパシームは、ことばをしっかりと心に身につけるしくみを提供します。
静かにすわり、声に出すことばが、入出力の循環になるように、お手伝いします。
Do it over.(くりかえしてみよう)
あなたの声の中に、ふだん気づいていない根源的な力があります。
ことばを声にだし、それをふりかえって、定期的にくりかえすことで、それが再帰の力になります。
出典・参照:Michael Corballis 『The Recursive Mind』、くりかえしをテーマにした以下のエンパレットなど
(*注1)英語ではrecursion(再帰)、recursive loop(再帰的ループ)と表現します。くりかえしは、一般にリピートするという日本語でも知られるrepeat、repetition(反復)ということばがあります。これとは別に、Iterate(くりかえす)という動詞があります。日本語にすると、Itertionも「くりかえし」ですが、repetitionとは本質的な違いがあります。Repetitionは、おなじことを何度もする行為。Iterationは、同じタスクを単にくりかえすことではなく、長期的な道のりを想定して、変化・上達をもたらすような、プラクティス(実践)のくりかえしを言います。定期的にふりかえってくりかえす、といった階層性があり、脳への出し入れをする、つまり再帰的な力を引き出すようなくりかえしです。これが脳の処理・ネットワークを高めるのです。人間の言語がその際たる例です。Repetitionはおなじことを何度もする、いわば、飽きがくるくりかえし。Iterationは、実はおなじことのくりかえしではなく、その都度、つながりや定着をふやすくりかえし、つまり再帰的くりかえしです。
大切なことばをくりかえして生きている [ジョンさんのエンパシーム]
「All You Need Is Love 誤解を解く(2)」