共感のまなざしがじぶんをつくる

澄み渡った秋の夜空にくっきりと浮かぶ月を見上げて、谷川健一先生を思い出す。

多くを生きるとは、多くを感じること。

それは宇宙に脈動し遍満する生命のリズムを感受すること。

これまで私は、谷川先生のことばに勇気づけられ、「独りで学ぶ」ことを学んできた。

心がひらかれていれば、何とでも、つながれる。

共感のまなざしと姿勢が、じぶん自身をつくる。

みちゆく人よ

道ゆく人よ、道が前にある、のではないんだよ。
歩くことで、はじめて、道ができるんだ。
前にむかって歩く。そして後ろを振り返る時、小道が見えるだろう。
そこにじぶんの足跡ができている。
ただ、その足跡をもう一度踏もうと思っても、それはできない。

アントニオ・マチャードの詩『Caminante』を訳してみました。
原文のスペイン語は、Caminante (道をゆく人)です。Traveller (旅人)よ、といった訳語があてられらていますが、Caminoは道、Caminanteは、道を歩む人という意味です。

あんずのインスピレーション

横長の綿雲が群をなし、空低く、ゆっくりと移動している。空に向かって垂直にのびた赤い枝の先に、小さな白い花がひとつ。淡い春の光に安心して、枝の中に蓄えていた力が湧き出てきたかのようだ。柔らかい花びらに顔を近づけると微かに甘い香りがする。この夏、どっしりと腰をすえたような太い幹に支えられた空間に、土と光と空気の恵みを集めて、独特の甘みを備えた柔らかい橙色の実に結ぶ、アプリコット。ここは、あんず畑。