共感の精錬 (12) 付記 ① 水銀・人間の心・エンパグラフ

サイエンスの力、テクノロジーの力、アートの力、そして素のふるまいの力。これらは調和をもって合わせることができる。その思いをこの文章にこめた。「ひとつぶ」の共感を日常の中で身につける小さな素振りの力によって、何かがすこし違って見えたり、聞こえたり、感じられ たりする、未知の可能性を私は信じている。

共感の精錬 (7) 光・空気・土・水と、隣人とともに生きている

アルマデン水銀鉱山の廃の引き金は、1972年出版『ライフ』の特集記事だった。ユージン·スミスは水俣の人々とともに暮らし、被害者家族との関係を築きながら共同体の内側をフォトエッセイ「Minamata」で描いた。「写真は小さな声に過ぎない。だが、一枚の写真が人の心に響き、遠い人々への理解や共感をもたらすこともある。

共感の精錬 (3) アルマデンの上を歩く

アルマデン鉱山跡を歩きながら、日本列島の丹生の路にも思いをはせる。日本は丹の産地すなわち水銀朱という地下に眠る天然資源を探しあて、それを採掘して精製した技術と産業経済史の宝庫でもある。アルマデンで拾った鉱石のかけらには、地球の歴史が凝縮されている。じぶんが地球だったら、この岩石は皮膚の一部であり、来歴の記憶なのだ。

共感の精錬 (1) アルマデン水銀鉱山遺跡を訪ねて

アルマデン水銀鉱山遺跡自然公園。歴史文化遺産地域全体が、生態系の保護を目的とした自然公園ハイキングトレイルになっている。カリフォルニアの歴史、そこに映る文明の象徴、人間の営みの証がここに凝縮している。ここは、丹(に)の生まれる所。丹生(にう)に関わるあらゆるイマジネーションを精錬し、ひとつのストーリーに仕上げたい。