We are connected in time and space.(私たちは時間と空間でつながっている)
D.H.ローレンス『エトルリアの遺跡』の一節から。
「薄闇の中で、鳥たちが
一面に
壁の下部はすべて海の青緑色で、部屋全体に波紋のようなシルエットの表面が広がっている。
海からは高い岩がそびえ、そこから裸の男が、影は薄いがはっきりとした姿で美しくきれいに海に飛び込む。
仲間がその後に岩に登り、水面にはオールを休ませた船が待機し、3人の男がダイバーを見つめ、真ん中の男は裸で立ち上がって両手を差し出している。
その間にボートの後ろには大きなイルカが跳び、澄んだ空気の中、鳥の一群が上空に舞い上がり、岩を通過する。」
エトルリアの中心都市、港町のタルクィニア。
挿絵は、モンテロッツィ遺跡の墳墓壁画『狩と漁の墓』です。
ローレンスは、壁画の情景に入り込み、生命の躍動を細やかに描写しています。
この不思議な高揚感はどこから来るのでしょう?
Less is more.(現実を減らせば、真実が増える)
ひとつ、確実に言えることがあります。
大きさと色です。
描く動物の大きさ。
心を寄せている対象が大きく描かれます。
描くものの色鮮やかさ。
心を奪われる対象が際立って描かれます。
現実(事実)としてはこのような光景はありません。
でも、心に映る光景(真実)は違います。
生きている人の真実が描かれているから、躍動感が生まれます。
絵の中に入って想像でつながるから、高揚感が生まれます。
多田富雄さんのエッセイに、こうあります。
「飛び込む男は、まさしく私たちをきらめく海の彼方へと一瞬引き込もうとするのである。そこは冥界なのか。超越の彼岸なのか。
いともたやすく、一瞬のタイムスリップで到達することができる。
この世と隣り合わせのあの世。
エトルリア人の観念の中の生と死は、これほどまでに至近距離にある。」
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出典・参照:D.H.ローレンス『エトルリアの遺跡』、多田富雄『イタリアの旅から』
静寂の開放感 [心のエネルギー](ピエモンテ)
心は踊る(くりかえし、ふりかえり、じぶんと結びつける時に)(シチリア)
Project Gutenberg Australia 『Etruscan Places by D.H.Lawrence (1932)