Empathemian [ ま ]

Keep clear.(を保て)

ふだん、何気なく使っていることばで、
間[ま]ほど、身近かなことばはありません。
私たちは、間 [ま] の中で暮らしていると言ってもよいぐらいです。

漢字で「間」と書いて、「ま」と読んだり、「あいだ」と読んだりします。
とは。文字どおり、あいだのこと。

間 [ま] とは何か?

① ものとものとの「あいだ」

② 場と場の「あいだ」

③ 時間と時間の「あいだ」

④ 人と人との「あいだ」

つまり、ある距離、間隔があることです。

[ ま ] という表記は、そのことを表し、具体的に [ま] をつくるための行為を意味します。

間が大切だ、とよく聞きますね。
何をどうすることでしょうか?

(1)空間の「間」をつくる

空間的な間。物理的な間。
ほどよい距離を保つこと、適切な間隔をつくることです。

間がない状態を思い出してみれば、すぐにわかります。

・ものが、ゴチャゴチャしている状態

・スキマなく、ギッシリ埋まっている状態

・いっぱいで、それ以上、入らない状態

・ジャマになるもの、さえぎるもので身動きが取れない状態

・多忙や心配事でゆとりがない状態

このようにあげていったら、キリがないぐらい、思い浮かびますね。
行動するじぶん、作業をするじぶんの、身のまわりを片づけて、スッキリさせておくこと。
それが、間をあけることになります。

Emmpathemian『Keep Clear』

アメリカの道路を走ると、こんな表示が道にかかれています。
Keep clearとは、その場所をあけておけ(そこに停車してはいけない)という意味です。
例えば、消防署の出入り口付近など、渋滞のときでもそこをあけておかないと、イザという時に緊急車両が出動できないからです。

私たち人間は、突然、何かものごとをすることができません。
急に、身体をフルに動かしたりはできないのです。
お風呂でも、いきなり入ったりしませんね。徐々にです。

また、スペースのゆとりがないと、身動きが取れません。
間をあけることで、行動ができるわけです。
身のまわりとは、まず、手のとどく範囲です。
両手を広げた、身の丈サイズの空間がスッキリしていることが、間 [ま] になります。

(2)時間の「間」をつくる

時間の間[ま]とは、はさまれた間の時間です。
ある現象が、そのあいだ、静止する時間のこと。

・タイミングを取ること

・区切れをつくること

・待つこと

このように言うと、何ら特別のことのようには、聞こえません。
なぜ、わざわざ、「間が大切だ」と言うのでしょう?
何がむずかしいのでしょうか?

適切な「あいだ」をつくることが、実は、かんたんではないということです。
ふだん、プラクティス(実践)していないと、その感覚(センス)が身につかないので、急にやろうとしても、できません。
間をつくることになれ、いつでもおなじようにできるようになることが、プラクティスです。

ここまでのところを整理します。
(1)空間にせよ、(2)時間にせよ、ほどよい間隔を持つためには、そのための行為(アクション)がいります。
それは、ほんのわずかな間隔やタイミングをつくるための「小さなふるまい」です。
10センチぐらい開けるとか、一秒待つといった、マイクロアクションなのです。

をあける、いれる、たもつ、といった表現があります。
それは、ある場において、あるいは、ある流れの中で、小さなスペースをつくりだす行為です。
その意味で、じぶんの行為によって、[ま]をつくるのです。

次回のエンパレットでは、もう一段掘り下げて、「小さな間をつくる」こと、それがなぜ「姿勢づくり」になるのかについて、お話します。

間とは何か? どんな間がある?

間 [ま] をつくる② [小さな間が姿勢をつくるのは、なぜ?]へつづく

出典・参照:『毎プラ てびき』、白川静『字訓』、大野晋・浜西正人『類語新辞典』、以下のエンパレット

Festina Lente ④ [ゆっくりすることで、深くなる学び]

「コップをあけよう① どうやって?」

「習慣の秘訣 Life is in the giving 」

「間をつくること、生きていること。」

「ココロのタイムカプセルとは?」

「毎プラ てびき」