秋葉文雄さんの自宅「珪藻ミニラボ」をおじゃました時のお話。
立:うわー。信じられませんね。これ、ホンモノですか!
秋:もちろん。
立:マイクロアートですね!
秋:ええ、珪藻のアーティストをされている方もいます。
立:珪藻って、コンブとかとおなじ、藻なんですよね?
秋:そうです。水に溶けているガラス分をとりこんでね、殻をつくるんです。
立:不思議ですねー。太陽の光でガラスの殻をつくる生き物ですね。
秋:地球上の1/4の酸素を算出していると言われます。
立:え!そんなに?光合成ですね。どんどん繁殖するのでしょうか。
秋:ええ、ひとつぶの石のカケラに何万個もありますよ。
立:地球のどこにでもいるんですか?
秋:寒いところでもだいじょうぶ。いちばん多いのは南極周辺。
立:顕微鏡じゃないと見えないですよね。
秋:0.005ミリから0.5ミリぐらい。集まっても、泥水のようにしか見えないね。
立:珪藻が死ぬとガラスの殻だけが残るわけですね?
秋:そう。ガラスだからね。2.5億年までさかのぼれますよ。
立:秋葉さん、おしごとは「珪藻ミニラボ」とうかがいましたが。。
秋:ええ、ここ(自宅)がミニラボ。
立:どんなことをなさるのですか?
秋:地質のものさしをつくるんですよ。
立:生物の年表みたいなものでしょうか?
秋:そう。種の絶滅時期を推定してね、地質年代を定めることができるんです。
立:なるほど。すごいですね。
秋:マイクロパレオントロジストっていうんですがね。
立:わー長いですねー。微古生物学者?
秋:ええ、論文を書くのが仕事じゃないんだけど、書くことで世界中の仲間とつながれるんですよ。
立:どれぐらいの珪藻が?
秋:サンプル?25000ぐらい。300-400種類がわかっていると、推定作業ができます。
立:それをまとめるわけですね。
秋:このでっかいスプレッドシートにね。これも私のツールというか、ひとつの世界。
立:どれぐらいなさっているのですか?
秋:あ、仕事?珪藻と出会って50年。
立:毎日、のぞいているんですよね?
秋:もちろん。1日、何時間もね。何日もずっと見ていることもありますよ。
見ている時がいちばん楽しいね。
そこの川原から拾ってきた石の裏側から、地球全体の何億年まえとつながる想像の世界。
何日も何日も観察した結果をスプレッドシートにまとめて、世界の研究者と発見をわかちあう世界。
ガラスの存在が生きているー
きょう、秋葉さんの、毎日のプラクティスの現場をのぞいてみた。未知の世界。
きょう、新しい、小さなともだちにめぐりあった。
It’s wondrous.(ふしぎはたのしい)
出典・参照:坂口立考「秋葉文雄さんとの会話ー「珪藻ラボ」訪問」(埼玉県飯能市)