Take care.(養生せよ)
辞書を引くと、病気の回復、健康の増進といった説明が出てきます。
ただ、これだけだと、ことばの本来の意味がつかみにくいようです。
養生は、治療や栄養の補給のことではありません。
結果的に、病気の回復にも健康増進にもつながりますが、ちがう思想です。
江戸時代の本草学者・貝原益軒は、『養生訓』でこう記します。
「養生の術は、心気を養うべし。
心を平らかにし、
いかりと欲をおさえ、
うれひ、思ひをすくなくし。
心をくるしめず、
気をそこなわず。
これ心気を養う要道なり。」
養生とは、人間が本来もっている心身の調和を保つことです。
何かがあってから、対策を講じることではありません。
心身の平静を保つように、じぶんをみちびくこと。
そちらの方向にじぶん自身をしむけることです。
もっとシンプルに言うと、
やさしい心を持つことです。
五木寛之さんはこう言います。
「強い枝は折れてしまう。いかによく曲がる、しなるかが大切。
いかに強くなるかではなく、やさしくなること。」
耳を澄まして、からだの声を聴くこと。
日頃から、やさしく、いたわること。
養生=アタラクシア。
出典・参照:貝原益軒『養生訓』、五木寛之『養生の実技』、以下のエンパレットなど