Time is the soul of this world.(時は、この世界の心)
ピタゴラスの定理。
幾何学を習う時、必ず出てきます。
ピタゴラスは、ドレミファソラシドという音階の発明者でもあります。
1オクターブとは8個という意味ですが、ドからドは音の周波数が2倍になります。
音を整理してならべる音律の法則。それが、人間なら誰でも美しいと感じるコンセプトになっています。
不思議ですね。音は自然現象、整数比は人間の概念。それもシンプルな算数で。
ピタゴラスが鍛冶屋のそばを通りかかった時に聞こえてきた「相づち」の音を聞いてひらめいた、という伝説があります。
和音の起源は相づちだったのです。
寺田寅彦の随想に、こういう一節があります。
「ピタゴラスが豆のために命を失ったという話がライルチオスの『哲学者列伝』の中に伝えられている。それが日本にあるどの豆に当るのか、それとも日本にはない豆だかが、分らないのが遺憾である。」
この豆は、そら豆 (Fava bean)です。そら豆は、特別な形をしています。
中から胎児がでてくるみたいです。
谷川健一さんは、前方後円墳は「ひさご」(ひょうたん)だと言いました。
生命の宿る特別な内部構造に、古代の人は霊力を感じたのでしょう。そら豆は、美味しくて栄養があります。
ある伝承は、こう言います。
ある日、あるニワトリが言った。「自分はピタゴラスの生まれかわりなので、そら豆をくわないと生きていけない。」
ピタゴラスのことば。
時間はこの世界の魂。
万物の根源は数。
こんな想像ができます。
そら豆のように、ひとつ、ふたつと数える、自然数。
それは、時間のカプセル。
その中に世界の魂が入っている、と。
エンパシームも、じぶんの魂を包むカプセル。
出典・参照:寺田寅彦『ピタゴラスとそら豆』、『毎プラガイド』