修養の知(フロネーシス)

フロネーシス (Phronesis)ということばがあります。

知恵の中でも特に、身をもって体験することによって培う知恵のことです。
実践の知と呼ばれますが、それは、修養の習慣によって身につける知恵のこと。
「プラクティスの知恵」、「修養の知」。

古代ギリシャのアリストテレスは、修養によって、心のバランスを保つことを説きました。

じぶんの心を落ち着けるプラクティスが修養です。

知恵を表すことばには、WisdomやIntelligenceといったことばがあります。

アリストテレスは、温和、親愛、正直、謙虚、勇気、共感をもっとも大切にしましたが、これらの徳をまとめるたまとめる大きな知恵を、フロネーシスと呼んだのです。

贈ることのありがたさ

オー・ヘンリーの短編小説に『賢人の贈り物』という作品があります。

あるクリスマス。
夫のジムは、妻のデラにベッコウの櫛をプレゼントします。
デラのために、懐中時計を質に入れて買ったのです。

デラも、ジムにプレゼントを用意していました。
それはジムが大切にしている時計につける鎖でした。
それを買うために、じぶんの長い髪の毛を売ってしまいました。

オー・ヘンリーは、最後をこのように結びます。

「すべての贈りものの中で、このふたりやりとりこそ、もっともwise(かしこい)。彼らは、東方の三賢人のように賢い。」

しない力

アリストテレスの、こういうことばから。

What lies in our power to do, it lies in our power not to do.(何かをする力は、何かをしない力にある)

どういう意味でしょうか。

私たちはふだん、何かを成しとげるには、たくさんのことをしなければいけない、と考えますよね。

何かをしないとは、何もしないことではありません。
でも、身心を休めて、エネルギーを回復するには、意思的な活動は「何もしない」ことです。
それは、力を養っている時です。