Focus on what’s left.(身体に残る感覚に心を寄せて)
のびた:右と左は「反対」じゃないって言ったよね?
ドラえもん:うん、それがどうしたの?
の:考えちゃったよ。
ド:何を?
の:右利きと左利き。
ド:なるほど。
の:世界中、右利きばっかりなんでしょ。
ド:ぼくはどちらでもないよ。
の:ドラえもんは特別として。ふつうは、右利きの方がずっと多い。
ド:人間がことばを話すようになってから、らしい。
の:どうして?
ド:左側の脳は言語や、ものごとを細やかに捉える。それに右半身のコントロール。
の:右側の脳は?
ド:全体像を捉える。しなやかに。想像的なこと。それに身体の左側を担当。
の:両方とも大事なんでしょ。
ド:もちろん。脳はひとつだし、身体ともいっしょ。バランスが大事。
の:どうやってバランスよくするの?
ド:ことばを声に出すことさ。
の:え?声を出すだけでいいの?
ド:左脳と右脳は、
の:それで?
ド:声に出す時に、その橋をパルスが行きするんだ。
の:へぇー。
ド:前にも話したけど。(注1)
の:忘れちゃったけど、声に出す運動がことばだっていつも言っているよね、ドラえもん。
ド:ことばは運動。話すのも、聞くのも、書くのも、読むのも。
の:字を書くのも運動?
ド:もちろん、そうだよ。そういふうに言わないだけのこと。
ド:そうだよ。でもバラバラにじゃなくね。。
の:でさぁ、左利きの人は?
ド:右脳で言語を担当している人もいる。
の:右と左は決まりじゃないのかな?
ド:決まりというより、どんなことも、確率的に出現するってことだよ。
Forget about what’s right.(正しい答え探しを忘れて)
の:ところで、心臓はどうなの?
ド:心臓が何?あ、なんで左にあるのかって言うんでしょ?
の:あたり。ドキドキしたりして胸の左に手をのせるでしょ。
ド:走った時なんか、すごい勢い。
の:ぼくなんか、しょっちゅうだよ。
ド:緊張した時とかね。心臓はポンプだから。
の:で、なんで左側にあるの?
ド:なるほど。あの、のびちゃんさ。
の:何、今度は?さかさまだっていうんじゃないよね?
ド:ちがうちがう。ただ、心臓は左側にあるんじゃないよ。
の:えー、ここにあるよ、ほら。
ド:心臓は身体のほとんど真ん中にあるんだよ。
の:本当?じゃ何で、左だってみんな言うの?
ド:左側にあるんじゃなくて、心臓の左側がドキドキ感じるんだよ。
の:そうなの?なんで?
ド:心臓って何をしているか知っているよね。
の:ポンプでしょ?身体中に血を送るポンプ。
ド:そのとおり。ということは?
の:ということは、血が送り出されて、ぐるりとめぐって戻ってくる。
ド:すごい!どっちから出て、どっちに戻ってくるか?
の:そうか。左側から出て、右側にもどってくるんだね。
ド:そう。はじめ、肺に送られて、そこで酸素たっぷりの血になる。
の:それから?
ド:肺からいったん心臓に戻ってきて、今度は身体中に送り出される。
の:最初でていく時のポンプがすごいんだね。
ド:そういうこと。身体感覚で身につけているんだよ。
の:これも習慣なの?
ド:身体にとってはね。心臓の左側の筋肉が覚えている。
の:毎日、数秒ごとに繰り返しているんだもんね。
ド:そう。何十億回もポンプするんだから。(*注2)
の:知らなかったなぁ。心臓が真ん中にあるなんて。
ド:左側にあるような感覚があるだけ。
の:心臓の感覚は左側、っていえばまちがっていないわけね。
ド:そう。それがいつの間にか心臓は左、っていう常識みたいになっちゃった。
の:どこにあるかと、どこで感じるかは、ちがうことなんだね。
ド:感じるのは、心臓だけじゃなくて、脳も、身体全体も。
の:そういうふうに身体全体がうけとめるんだね。
の:そういえばさ、右と左って、英語では、right、leftでしょ。
ド:そうだよ。rightは、いい方、うまくできる方。leftは弱い方。
の:そういう意味からはじまったの?
ド:そう。右利きの人が多いからそういうふうに言うようになったんだろうね。
Open up your heart.(心ひらいて)
私たちの生活で、とても身近かな右と左。
意外な思い込みがあるのですね。
ハートも真ん中にひとつ。
心をひらく気持ちで思い浮かべてみましょう。
出典・参照:英語トレイル2(46)Open up your heart、トレイル3(91)Human Body、クリス・マクナマス『非対称の起源』
(*注1)脳のしくみについて、エンパレット「じぶんを聞くふるまいが大きな力になる」をごらんください。
(*注2)心臓の働きについて、エンパレット毎日が贈りもの [じぶんサイズの時間と空間]をごらんください。
Heart(Wikipedia)