We break out of the box by stepping into shackles.(足かせをはめることで、現状を打ち破れる)
ヨナ・リーラーさんは、こう言います。
「人間の創造力は逆説的。制約の中にみずから入り込むことによって、自由な創造を獲得する。」
制約によって、概念的な視野を広げ、より創造的な心理的状態にむかう、という実験結果があります。(*注1)
脳とは無限に近い可能性をもつ神経の集合体。
「何に注意を与えないか」という選択に、実は多くの時間とエネルギーを費しています。
「自由に考える」ことは、脳にとって楽な仕事ではないのですね。
あえて制約することで、脳の仕事が楽になるわけです。
もちろん、その制約は、創造の結果です。
制約とは、ある形式をもつことです。
制限のルールをもち、それをうまく利用する作法をもつことです。
芸術は、形式によって創造されるもの。
制限されることで、予想外の結びつきや組み合わせを編み出すこと。
17文字で構成される俳句は、その典型です。(*注2)
形式を別のことばで言うと、フレーム(枠をきめること)です。
気づかぬうちにしばられているかもしれない考え方、習慣もフレーム。
また、人間の想像力を引き出してくれるのは、新しいフレーム。(*注3)
創造とは、新しいフレームをつくること。
. どのように区切りをつけるか
. 区切ったものをどうつなげるか
. つないだものをどのように使うか
エンパシームは、短い時間に集中力を引き出す、あたらしいフレームです。
自然な流れの中に、制約をもうけることで、想像の力が発揮されるしくみ。
① 静かにすわる(ことで始まる)
② 穏やかになる(ひと筋の円をひとつ描くことで進む)
③ ほんの一瞬待つ(区切りができる)
④ ひとことを声にする(フレーズに区切って記録)
⑤ 流れをそこなわないよう(流れている間、意識的な入力がない)
⑥ 見守って終える(ことで、フローのまとまりができる)
周りの空気、姿勢、呼吸、声のことばでつくる、じぶん固有のフレーム。
シンプルで、ミニマルに、ひと時をフレームすることで、内省のプラクティスが身近なものになります。
⑦ だれでもじぶん固有のデータをつくり、ふりかえり、たしかめること。
⑧ それを共通形式でわかちあえること。
新しいフレームを使うことで、じぶんの思い込みに気づきやすくなり、
プラクティスを、より深めることができます。
Use your frame. Follow the flow.(じぶんのフレームでできたフローに委ねよう)
出典・参照:Jonah Lehrer『Imagine』、『毎プラガイド』
(*注1)『Need to create? Get a constraints』 (Wired.com)
(*注2)たった17文字でも、濁音や半濁音などをいれて70種類あり、70の17乗(17回掛けあわせる)の組み合わせになります。天文学的な想像を絶する数です。
制約の力については、エンパレット「Less is More シリーズ」をごらんください。
(*注3)コンピュータの世界では、フレーム問題(コンピュータは、考える(計算する)ことに、どこからどこまでの枠がなく、無限に考えてしまう、という限界)が、よくひきあいに出されます。コンピュータには、じぶんというフレームがありません。でも、じつは、これはコンピュータの問題ではなく、人間の問題です。AIは、人間の英知(統計・確率・論理・推論など)をコンピュータに移し替えた、強力な道具です。人間が制約の中で、新しいフレームを考えだすことが望まれています。