実家の庭に咲いた、大きな牡丹。
その上空で、大きな蜂が、一瞬、宙に浮かんだまま。躊躇しているのか、思索をしているのか。
と思いきや、潜水ダイバーのように、花の中にもぐりこんでいった。蜜の海。朝の大仕事を前に、息を整えていたのかもしれない。
母の米寿祝いの誕生日に、フラワーアーティストのウジさんが届けてくれた花。
ウジさんとは、10年のおつきあいになる。母の誕生日に、私の贈り物として創作してもらう花と、彼が母に贈る花を、直接届けてくれる。ささやかな誕生会に不可欠のメンバーになった。
1年に1日だけ、合計10日間。それが、10年分を満たしている。10回のうち、私が同席したのは、その半分。それなのに、深いつながりを感じるのは、花のご縁である。
「縁」とは、物事のつながり、関わり、そのようになるめぐりあわせ。身心のよりどころ。共感を抱く心が、縁をつくる。
いのちのふれあう空気をわかちあえば、自然にできる、縁。
初めてウジさんとあった時に語ってくれたことを、時々思いだす。
「花屋というのは、店の花を捨てるんです。売れない花は、処分せざるを得ませんから。私はそれがイヤで独立しました。今はお客さまへ直接お届けする花だけを扱う”花ブリエ”です。」
ウジさんと母の牡丹に、潜り込む蜂。
Be yourself.
いのちのふれあう空気は、いつも和らいでいる。
参照:エンパレットには、花と蝶やミツバチの風景エピソードがたくさんあります。