聖徳太子が制定した十七条憲法。
国を治める基本原理のエッセンスが、17の文章で語られています。
そのいちばんはじめに、こうあります。
「以和為貴」
「和(わ)をもって貴(とうと)しと為す(なす)」
お互いの心が和らいで協力することが貴い。調和し、道理にさからわないことを基本とせよ。
「和をもって」は、和らぐ(やわらぐ)をもって、とも読まれていました。
まず、やわらぐことがいちばん大切だというのです。
和らぐとは、やわらかくなること、おだやかになることです。
石井公成さんは、こう説明します。
「憲法十七条の「和」は、異なる音が存在することによってハーモニーが生まれるという面により、「和」して穏やかな雰囲気で協議することにより上下の群臣たちの意見が一致することを重視しているように見えます。上の者と下の者が親しみあった状態で、意見の一致をめざして和して話し合えば、物事の道理は自然と明らかになるのであって、そうなれば実現できないことなどあろうか、と力説するのです。」
「議論することが大切」という意味は十七条全体の意味です。
十七条目は「大事なことは一人で決めず、みんなで議論して決めなさい」という意味です。
一条と十七条が対になっています。
和とは、異なるものが混ざり、親和すること、調和することです。
大切なのは、そのような空気をつくるための姿勢であり、基本原理。
ひとりの人間でも集団でも同じですね。
空気が冷たいと、体はかたくなります。
あらそいや緊張も、体をかたくします。
体はストレスを感じ、エネルギーを消費し、疲労します。
和らげることが大切。
First things first.
いちばんはじめに和らぎ。
出典・参照:石井公成『聖徳太子』、『英プラ』 トレイル 3 (87) First things first.