なくから、かなしい。
ふるえるから、こわい。
ウィリアム・ジェームズは、感情と動きの関係について、このように説きました。
常識を覆す発言としても知られます。「悲しいから泣き、怒るからなぐり、恐ろしいから震えるのではない。その反対である」と。
身体心理学・春木豊さんは、こう語ります。
「動きと心の因果関係は、常識的には、「はじめに思い、次にそれを行動に移す」と考えられている。この考え方は非常に強固である。一方、思う前に動いているという事実は、日常体験からも常識であろう。
動きや体や心の間には、相互に因果関係があると考えられる。心が行為(動き)に影響し、逆に行為が心(気分、情動)に影響し、また、体が動きに影響し、動きが体(生理)に影響するという関係。」
脳科学の進歩で、心の働きを脳によって説明できることが増えました。
それでも、脳は末梢神経とつながったシステムであり、身体の一部です。
また身体は環境の中にあり、つねに相互作用によって働いています。
私たちはつい、頭で考えているので、そのことを忘れてしまいがちです。
というより、頭(脳)だけでは、その実感が持てません。
神経生理学者・アントニオ・ダマシオは、直感とは、体感覚がもたらす気分やイメージがマークされるものという説を唱えています。すなわち:
我あり、ゆえに、我思う。
理性・感性も一緒です。ですから、「思う」以前に:
静かにするから、やわらぐ。
にこやかにわらうから、うれしい。
If you smile, it makes you happy.
Act as if what you do makes a difference.It does. (そのつもりになってやると、本当にそうなる)(*注)
出典・参照:春木豊『動きが心をつくる』、William James 「The Varieties of the Religious Experience』
アントニオ・ダマシオ『無意識の脳、自己意識の脳』『デカルトの誤り』、以下のエンパレットなど
(*注)ウィリアム・ジェームズのことば
「身につけるしくみ ⑤ (表裏)無意識の縁を捉える Unlearning」
アントニオ・ダマシオ 意識の理解はどこまで進んだか(TED動画)