We know more than we can tell.(人は語れるより、多くのことを知っている)
マイケル・ポランニーのこのことばは「暗黙知」(Tacit knowing) ということばで知られます。
「ことばに表現できない知」という意味です。
伝統の職人技とか、すり合わせの文化といったことばがありますね。
が、それ以前に、人間の知性の本質には「身をもって関わること」がある、とポランニーは説きました。
著書『個人的知識』では、「コミットメントによる知」ということばが使われています。
一般に、約束とか使命といった意味で使われる「コミットする」とは「結びつける」という意味です。
コミットメントということばに、「自己投出」という日本語訳が与えられています。
投出、すなわち、じぶんを「投げ入れる」という意味です。
世界にじぶんを投げ入れ、その中に浸ってこそ、学べる、というのです。
それは、主観とも客観とも違います。
物事をじぶん自身にしっかり結びつける、関わる方法で、身につける知性ということです。
相手とじぶんを結びつけること、それは、共感の働きです。
パスカルもこう言っています。
The heart has its reasons, of which reason knows nothing.(心は理性の知らない、それ自身の理性を持っている)
Man knows it by many things, but cannot explain it.(人はそのことを数多くのことによって知っている)
心をこめる。身をもって関わる姿勢。
それが、学びと知性の本質。
共感の力によって学ぶことなのですね。
出典・参照: Michael Polanyi『Personal Knolwedge』(マイケル・ポランニー『個人的知識』、『暗黙の次元』) 、パスカル『パンセ』、以下のエンパレットなど