人間はひとくきの
それは自然のなかで最も弱いもの。だが、それは考える葦である。
「人間は考える
もしかすると、この有名なフレーズは、最も大きな誤解をされていることばのひとつかもしれません。
「動物や植物とは違って、人間はよく考えることができるから、人間が自然の中でいちばん偉い」という意味ではありません。
考えること、理性が人間の素晴らしさであるという意味は、もっと広く、深いものがあります。
パスカルはこの一節で続けて言います。
葦を押しつぶすのは、蒸気や一滴の水でできる。
人間は、じぶんの弱さを知るからこそ、尊いのだ。
「考える葦」というのは、そのように感じられることです。
葦になって考えること。
「じぶんが葦になること」なのです。
The heart has its reasons which reason knows nothing of.
心は、理性の知らない、それ自身の理性を持っている。
理性だけではわからないことがあります。
心をひらいて共感できることが、先にあって、理性を包み込んでいるのです。
そのことに気づくことが、それ自身の理性。
I am a reed. (じぶんが葦になる)
出典・参照:ブレーズ・パスカル『パンセ』347、277、以下のエンパレットなど