Develop your inner speech.(インナースピーチを育てよう)
ドラえもん:ねぇ、のびちゃん。ひとつ、試してみない?
のび太:何を?
ド:何千回聞いていても、身にはつかない。
の:えーいきなり。頭が痛いなぁ。
ド:あ、のびちゃんのことじゃないよ。
の:なーんだ。だれのこと?
ド:だれってことなく、ほとんどみんな。
の:何千回も聞いても、覚えていない、とか?
ド:そうそう。そういう話。
の:実験するって言ったよね。
ド:そう、そのことに気づく実験。
の:わかった。やってみる。
ド:それから、ほんの少しの工夫で、ある変化を実感できる実験。
の:で、何すればいいの?
ド:次の動画をみながら、いっしょにやってみよう。
の:オーケー!
の:なるほどね。よくわかったよ。
ド:よかった。
の:英語だと、インナースピーチが白紙状態なんだね。
ド:わかりやすいでしょ?
の:でもさ、ゼロから始めると言うけど、ひとつ質問。
ド:何?
の:カタカナのことばを知っているけど。
ド:うん。元は英語だけど日本語になった単語ね。
の:そうそう。だから、ゼロじゃないよね。
ド:いいポイントだね。ゼロどころか、ものすごくたくさんの単語の知識があるよね。
の:それはインナースピーチじゃないの?
ド:日本語化した単語。日本語の音とリズムのことばだよね。
の:そう。日本語になっている英語。
ド:だから日本語の知識だね。それはそれでいいんだけど。
の:何がいけないの?
ド:いけないんじゃなくて、現実を知るってこと。
の:現実?
ド:英語の音やリズムでは身についていないってこと。
の:学校であんなに英語の宿題やってるのにね。
ド:文字で覚えるんじゃないんだ。
の:そうかなぁ?文字で覚えるんでしょ?
ド:文字で覚える時だって、脳内で音声にしているんだよ。
の:へぇーそうなんだ。不思議だね。
ド:もともと、ことばは音声。文字やイメージとも結びつく方が不思議じゃない?
の:確かにそう言わると、そんな気もするね。
Vocalize, and internalize your inner speech.(声にだしてことばを内面化させよう)
ド:じぶんの声で、音を身体化するんだよ。
の:音を身体化?
ド:文字どおり、身体に身につけること。
の:どこに身につけるのかなぁ。
ド:いい質問だね。脳の中に文字が刻まれるわけじゃないから。
の:じゃ、どこに?
ド:身体全体の記憶。
の:記憶だから脳のどこかなんでしょ。
ド:その働きを担っているのは、大脳にも小脳にもあるよ。
の:何が記憶されるんだろう?
ド:ふるまいの、つまり身体運動の記憶。
の:ふるまいの記憶か。
ド:そうだよ。身体が自動的に動くようになることが、身につくこと。
の:なるほど。
ド:無意識的に、とも言える。
の:話している時は意識しているんじゃない?
ド:もちろん、話の流れで意識はするけれど、発話そのものは自動的でしょ?
の:あーそうか。いろいろ考えるけど、声に出して話すのは、無意識っぽいね。
ド:発話は身体運動だから。そして心も働いている。
の:インナースピーチとは、単語の在庫じゃなくて、身体の中に染み込ませたものなんだね。
ド:そう。だから、そのつもりがないと、聞いている音も通りすぎるだけ。
の:そうか。だから、電車のアナウンスも何を言っているかハッキリ言えないのか。
ド:うん。せっかく、知識をいっぱい持っているんだから、音を身体に身につけること。
の:そうすると、どうなるの?
ド:いまの動画で、たった1回でも、気づくことがあったよね?
の:うん。1回言ってみるだけでも、すこし違う気がする。
ド:だから、くりかえしやってみると大きな違いになってくる。
の:ネイティブの真似をするといいんだね。
ド:大事なことは、じぶんの声でやってみること。
の:わかった。
ド:それから、そのつもりになってやること。
の:うん。そのつもりになると何がちがうの?
ド:脳の領域が活性化するんだよ。
の:活性化?
ド:ことばの身体化は、音声とイメージが結びつくこと。そういう働きが活発になるんだ。
の:結びつくの?
ド:そうだよ。音のイメージ化。イメージの音化。
の:なりきって演じるとそれが起きるの?
ド:じぶんの声でセリフを演じるとね。
の:身体と心なんだね。
ド:そのとおり。身体と心を使う時の、その体験が記憶される。
の:くりかえすと定着するんだね。
ド:活性化されるから、いつでも出てくるようになるんだ。
の:それがインナースピーチ?
ド:そう。だから、じぶんで即座に言えることばは、聞き取れることばってことになる。
の:そうだったんだ。こんな話聞いたことなかったよ。
インナースピーチ (9) 音を一列に生成する「運動の記憶」へつづく
出典・参照:以下のエンパレットなど