忘れることを忘れている

外山滋比古さんは、「忘却の効用」について説きます。

「知識と思考の量は反比例する。知識がありすぎると、考えない。また、創造力に欠ける。われわれは、情報過多で知的メタボになっている。

物事に時間をかけるのは、忘却の働きを促すということ。それが不要、不純、余計なものを洗い流す。

忘れて忘れて、忘れきれなかったものが思い出。

身体に丸ごと取り込むことから

小林秀雄のことばから。
「暗記するだけで意味がわからないければ、無意味なことだと言うが、それでは『論語』の意味とはなんでしょう。
それは人により年齢によりさまざまな意味にとれるものでしょう。一生かかってもわからない意味さえ含んでいるかもしれない。
それなら意味を教えることは、実に曖昧な教育だとわかるでしょう。丸暗記させる教育だけが、はっきりした教育です。

そんなことを言うと、逆説を弄すると取るかもしれないが、私はここに今の教育法がいちばん忘れている真実があると思っています。
『論語』はまずなにをおいても、万葉の歌と同じように意味を孕んだ「すがた」なのです。古典はみんな動かせない「すがた」です。その「すがた」に親しませるという大事なことを素読教育が果たしたと考えればよい。