絵に映る心

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホは、1枚しか絵が売れない苦難を生きながら、精神性の高い絵画を描き続けたが、精神の病ゆえに、みずから命をたった偉大な画家。それが長い間、「定説」でした。

ゴッホは、900通を超える手紙を書きました。最近になり、この膨大な手紙や資料を研究し、綿密な取材を重ね、定説を覆す「ゴッホの死の真相」に迫った人がいます。美術史家・スティブン・ネイファーは『Van Gogh : The Life』で推理を詳述します。

かけがえのない、このじぶん。

数学者・遠山啓さんと、ある高校生の往復書簡から、原文を抜き書きしてみます。

「一面識もない先生にとつぜんのお手紙をさし上げるのはなんとなく気がひけましたが、思い切って書きました。半年ばかりまえに、先生の講演をきいたことがあります。お話のなかで、先生がテストの点数なんかで人間のねうちをきめるのはまちがいだ、という意味のことを話されたのを覚えています。

ぼくは高校二年生です。ある悩みがあります。ぼくは生まれつきのろまなのです。何をやるにも人一倍の時間がかかります。ぼくはにんじんよりみじめだと思うことがよくあります。高校を出たら、どこか遠い田舎にある窯元をさがしだして、そこで修業したいのです。ご意見をお聞かせください。」