Empathemian 『Dare to Ride』

Dare to ride.(思い切って乗ってみる)

ひらきなおる。
思い切ってやってみる。

そんな時にすぐにでてくることばを育てておきたい。

でも、それはそれはで構えてしまうかもしれません。 

であれば、あなたにもある成功体験をことばにしてみてはどうか? 

それがDare to Rideです。 

自転車に初めて乗れた日のこと。

最初は補助輪がありました。倒れないように支えられながら、ペダルをこぐこと、前へ進むことを覚えていきました。

でも、いつか補助輪を外す時が来ます。
その時、いきなり上手に乗れたわけではありません。

何度でも、転んでは立ち上がる。そうしているうちに「乗れた!」瞬間が訪れます。

くりかえした体験が、脳と身体に刻み込まれたからです。転ぶことで、バランスの調整を身体で覚えたからです。

一度自分で走れるようになると、もう以前の状態には戻りません。

その体験を「ことば」にして、いつも持ち運べばよいのです。

No one really knows how, but everyone can do it. (だれも説明はできないけれど、だれでもできる)

ところで、この「乗れるようになる」という感覚について、物理学はいまだに完全な説明を持っていません。

1970年、物理学者David E. H. Jonesは、ある論文にこう書き残しています。

「ほとんど誰もが自転車に乗れるのに、なぜ乗れるのか、誰にも説明できない」

つまり、あなたの身体は、科学がいまだ解けない問いを、とうに解いていたことになります。

補助輪を外したあの日、あなたは自転車の物理学を学んだわけではありません。学んでいたとしても、どうやって乗れるかは、物理学では示しきれない。

転んで、立ち上がって、また転んで——そのくりかえしが、頭より先にバランスを刻み込んでいったのです。

心配いりません。動けば、身体が覚えてくれます。

作(文・挿絵・声にだすことば・声):坂口立考
出典・参照:David E. H. Jones『The Stability of the Bicycle』、以下のエンパレットノートなど

(*注1) 自転車がなぜ倒れずに走るのか。長年、前輪のジャイロ効果か、キャスター角(トレール)によるものだと考えられてきました。ところが、2011年、コーネル大学とデルフト工科大学の研究チームは、ジャイロ効果を打ち消す反回転ホイールを積み、トレールもゼロにした自転車を実際に組み立てました。理論上、倒れて当然の自転車です。それでも、その自転車は倒れずに走りました。