Empathemian 『Dare to suck』

Dare to suck.(下手をさらせ)

エド・シーランさんは、作曲について、こう語ります。

The first thing I say is: dare to suck.(最初、じぶんにこう言うんだ。 駄作もつくればいいんだって)

下手をさらす覚悟。
これを、だれかに向けてではなく、じぶん自身に向けて、言うのです。

最新作のために320曲書き、13曲を残した、と言います。

あなたは、この話をどのように受け止めますか?

⚫︎ 数打てば、当たる。
⚫︎ いいものを創るには、たくさんやる必要がある。(13/320 ≒ 4%)
⚫︎ 試行回数を増やせば、確率はあがる(?)

だれでも思いつきそうです。
であれば、だれでもおなじことができそうです。

でも、なかなかできそうもありません。
何かちがうのでしょう?

それは、上の受け止め方は「結果からものを言っている」ということです。

320は、後から数えた「結果」です。
書く前、つくろうという気持ち起こすという原因より前に、結果はありません。

曲を書くのは、1曲ずつです。
その曲も、1フレーズずつ。
そのフレーズも、1ビートずつ。

シーランさんが向き合っていたのは、常に「1」です。

いいものをつくろうするのではなくて、いまの1曲を書くこと。

私たちは、未知に向かうきっかけ以前に、他人の結果から考えるクセをつけています。そのせいで、なかなか未知にじぶんを向けられない。

シーランさんは、このことばをある人にインスパイアされたと言います。

“I walk in to the studio and the first thing I say is ‘dare to suck.’ This might suck; it might be good. If it sucks, no one has to hear it, we scrap it, it just doesn’t exist. But if it is good and great, you keep it.”
(スタジオに入る時、いちばんはじめにこう言うんだ。下手でいいんだって。駄作かもしれない、傑作かもしれない。駄作なら、だれも聞かずに済む。捨てちゃえば存在もしない。すごくよかったら、残せばいい)

Aspire yourself. (未知にじぶんを向ける)

創作とは、じぶんを未知にむけることです。
その時、大切なことは、今日の一歩を踏ませてくれる、やさしいことば。
じぶんに向けることばです。

シーランさんの「Shape of You」(世界で最も視聴された曲ー70億回以上)も、彼が、ひとつずつつくってきたものの、ひとつです。

「創作のカギは、数だ」と言わないのです。
それは、ものごとを結果から述べる時の錯覚です。

いいものをつくる秘訣。
それは、いいものをつくろうとすることではない。

まだ何になるかわからないものを、ひとつ、つくってみることです。
その一歩を踏み出すために、じぶんに、ひと言をかける。

創作のカギは、未知へじぶんを向ける、そのひと言にあります。(* 注1)

作(文・挿絵・声にだすことば・声):坂口立考
出典・参照:以下のエンパレットノートなど

TIME magazine, TIME100 interview (2025/2026), on Sheeran’s album Play.

(* 注1) 実は、英語耳°の獲得にも、同じことが言えます。「うまくなるには、まず下手なままやって、じぶんをふりかえること」です。まず下手なままやってみることが、その結果を生み出している原因に気づき、じぶんを変えていくことが、プラクティスの本質だからです。(詳しくはこちらへ)