Imagine your trail.(じぶんのトレイルを思い描いて)
トレイルの路上に、ひらりと舞い降りた一匹の蝶。
越冬でカナダからメキシコにむかう蝶が、ひと休み?
この森林トレイルは、サン・アンドレアス大地溝帯のちょうど真上にあります。(*注1)
南北1300キロの断層にそって山脈が走るカリフォルニア。
火山列島・日本の中央構造線にも似ています。(*注2)
小高い山々の尾根や、なだらかな丘陵地帯に、数キロから十数キロのトレイルがあります。
自由に歩いた山路が、ひと筋の線になります。
ひとつの山をいっぺんに歩くことはできません。
でも、くりかえしていくうちに、これまで歩いていた部分どうしがつながり、全体が実感できるようになります。
トレイルマップは、歩く楽しみのひとつ。
地図上で、じぶんが歩いたトレイルをなぞると、記憶がよみがえってきます。
trail ということばは、指でなぞって線をひくイメージの、動詞。
大地に足跡ができるように、線をつなぐこと。
地図の細かい知識なども山歩きの心構えもなかったけれど、
歩き始めて、いつの間にか、もう少しで1000回に。
今は地図を見ただけでイメージが湧いてきます。
等高線の模様に浮かび上がるものは:
・虫の音、鳥の声、小動物が草むらを揺らす音。
・木漏れ日の模様、蒼天の空。野花の色彩。
・乾いた空気、沐浴の空気感、木々の葉を揺らすそよ風。
・らせんの坂道、急な斜面、まっすぐな下り坂。
・じぶんの呼吸、鼓動、落ち葉を踏む足音。
・乾いたノドを潤す水が身体にしみいる感触。
このトレイル空間にいる、じぶん。
じぶんの身体の中に脳があり、そこに身体運動地図がある。
その地図に、トレイル空間のじぶんが写っている。
じぶんは世界の中に。
世界はじぶんの中に。
Do not go where the path may lead.
Go instead where there is no path and leave a trail.
あらかじめできている路に連れられるだけではなく。
じぶんの足跡でトレイルをつくろう。(*注3)
出典・参照:坂口立考『海の宮・「マインドトレイル」。「すごろくの教え」、『共感の精錬』、『英プラトレイル』
Best Trails in Sanborn County Park
(*注1・2)こちらのエンパレットシリーズ『共感の精錬』(フォトエッセイ)に、詳しく掲載しています。
「英プラトレイル3(94) Let’s go to a trail.」
(*注1) 断層上に暮らしていることを歌った曲 The Doobie Brothers ♫ Living On The Fault Line (1977)があります。
(*注3) Ralph Waldo Emerson のことば。