Human is nature-made.(人間は、自然がつくる)
Technology is man-made. (テクノロジーは人間がつくる)
We are made by nature.(人間もテクノロジーも自然発)
フィリピン・マプア大学工学部の学生さんに、オンラインで講演する機会がありました。
Create 「つくる」というテーマです。ものをつくるだけではありません。つくる対象は、あらゆるものごとです。
講演の最後に、ひとりの学生さんからこんな質問がありました。
Is AI a threat?(AIは脅威ですか?)
「よく、言われますね。じぶんで考えをつくってみましょう。」
(1)AIは複合概念
いま私が、マプア大学にみなさんをたずねるとします。いろいろ案内してもらって、最後に「大学はどこ?」と聞いたらどうでしょう?「何を言っているんですか、全部が大学ですよ」と言いますよね。大学、お寺も、人間も、いろいろな部分や要素を含んだ、総合的な概念ですね。AIもおなじです。AIという単品技術があるのではありません。
AIは、人間が生み出すテクノロジーのひとつです。
人間がつくるものです。人間とおなじカテゴリーのものではありません。
まず、概念の捉え方について、混乱をなくすと、すこしスッキリします。このことは、エンパレット「心はどこにあるの?」に書きました。
(2)怖いと感じるのは人間の心
鳥は空を飛べて、人間は空を飛べないからといって怒ったりしませんね。
また、車が人間より速く走るからといって、驚かないですね。
人間と動物を、直接比べる必要はないですから。
人間と機械。種類のちがうものなのに、話がAIになると、人間と直接比べてしまい、話がややこしくなります。
そのことを、「AIってこわいの?」に書きました。また、何が怖いのかについて、「Fear of Fear (おそれる気持ちがこわい)」に書きました。
(3)AIの中核はコンピュータによる最適化計算
いろいろな要素があるとはいえ、AIの中心は、コンピュータで統計データを学習して、対象とする物事に最適な予測をすることです。そして、そういう道具をつくり、改善する人間の努力もまた、AIと共にあります。
AIが勝手に何かをしてしまうようなイメージだけがひとり歩きすると、なんだか、得体が知れなくなってきますね。でも、いちばん本質的なことは、AIも複雑な物事を捉えようとする人間の営みである、ということです。これまでも、数学や統計学を知を活かしてやってきましたし、これからもそれを発展させていくのです。その中で、どのようにデータをつくるか、その試行錯誤と、知恵が、AIということばの中身にはいっています。
こわいものでも、こわくないものでも、ありません。じぶんたち(人間)がつくりだしているものに、じぶんがどのように向きあうか。そのための姿勢なのですね。まず、大切なことは、じぶんで考えてみることです。
Ask yourself how you feel. (じぶんがどのように感じているか、じぶんにたずねてみよう。)
出典・参照:Rikko Sakaguchi『CreateーLecture at Mapúa University, October 24, 2020』
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