Less is more.
小説が数多くの映画化されているスティーブン・キングさん。
こんなエピソードを語ります。
「じぶんの仕事は、けずること、ほりだすことである。
キーボートの削除キーを押す時間を足すと、人生の7年半にも達するよ。
ふだんは気づかずにいますよね。
キーボードで何かを執筆する時。
スペースキー(間をいれる)と削除キー(さかのぼって削る)が圧倒的に多い、ということを。
つくることは、けずること、みがくこと。
文字どおり、書いてはけずり、書いてはけずり。
けずっている時間がいちばん長い。
なぜでしょう?
間違えから直すため、と答えそうですね。
それ以上に、書くという行為そのものが、考えをけずっていくことだからです。
じぶんの身体から、いったん出して、
それをへらし、まとめ、研いでいくこと。
キングさんは、こう言います。
「素材が大事。
素材を掘り出すこと。」
「はっきりとした構想が、先にあるのではない。
素材を掘り出して、それを活かすことで、構想になっていくのだ。」
私たちの日常はどうでしょう?
たとえば、こんな場面。
ママ、今日の夕食なあに?
そうね、今日はとうふがたくさんあるから、ゴーヤチャンプルにしましょうか。
それとも、マーボー豆腐がいいかしら。
ぼんやりとした方向性と、素材を活かそうと思う心。
そして、やりながら、へらし、削っていく作業。
まず、手持ちのものを出してみる。
プラクティスもおなじです。
とりだして、活かす。
出せば、自然に削りたくなります。
Less is more.(削り減らすと深まる)
出典・参照:Stephen King 『On Writing』、スティーヴン・キング『書くことについて』、以下のエンパレットなど
Less is more (10) 上手い人は「ムリ・ムダ・ムラ」のバラツキが小さい