Do it together.(共に歩もう)
絵本『カモメに飛ぶことを教えた猫』より。
黒猫のゾルバは、タンカーから漏れ出た油で瀕死となった母カモメ・ケンガーが最後の力を振り絞って産んだ卵を託されます。
そして、知り合いの猫、ネズミや人間の力を借りて、子カモメ・フォルトゥナータを育て、飛び方を教えることに成功します。
歓喜して大空を飛ぶフォルトゥナータと、それを見守り、詩人のように呟くゾルバのラストシーンです。
ゾルバ:さあ、飛びなさい。大空のすべてが君のものだ。
フォルトゥナータ:決して忘れません、あなたと皆さんのことを。
ゾルバ:
勇気を出してやってみる者だけが飛べるんだ.
Sólo vuela el que se atreve a hacerlo.
ちがうものが互いに力をあわせ、助けあって生きる姿。
Joint Venture (ジョイント・ベンチャー)ということばが思い浮かびます。
ジョイントは「共に・互いに」、ベンチャーは、「新たな挑戦、冒険」のことです。
ビジネスでは、企業同士が出資しあって、合弁事業の子会社をつくる例があります。
この物話は、猫とカモメ母子とのジョイントベンチャーです。
夫婦もまた、助け合って家庭を築くジョイントベンチャーです。
そこから生まれてくるものは、家族だけではありません。
ジョイントベンチャー、すなわち「相手とじぶん」のある世界だからこそ、培われるものがあります。
信頼、尊敬、希望、信念、じぶんの心。
私は、メキシコで6年、スウェーデンで10年のジョイントベンチャー事業を体験しました。
そこで学んだことは開発やビジネスだけではありませんでした。
それよりも、異なる背景を持った数々の人たちが集まり、違う考えをぶつからせながら、共に感じ、共に歩むことで、共に学んでいく営みの尊さです。
The whole is greater than the sum of its parts.
全体は、部分の総和よりも大きい。
出典・参照:ルイス・セプルベダ『カモメに飛ぶことを教えた猫』、『英プラ』 (65) Serve. (78) One by one.
坂口立考『エンパシームでひらく路』
The whole is greater than the sum of its parts.