蜂飼耳さんの詩『梨の音』より。
梨が樹に 実ってゆくことは
この目のなかで実るのと おなじこと
けれど この両目が
地上から きえても
梨はやっぱり実をつける
五十億年後には
地球の水分はすっかり蒸発
(太陽との距離はちぢんで)
たしかに梨を
みた 口にして
梨と ひとつに
わたしは梨になる
* * *
この詩につづけて、ことばをそえてみます。
果物の、音、香り、触感、色と味。
それらが、じぶんという土壌に染み込んでいく。
ほんの、ひと息ぶんの、短いじかんのできごと。
それは、共感の時つぶ。
ふれあうことは、そのものになること。
相手の身になること。ほんの、ひと息のじかんのできごと。
それを「共感の時つぶ」とよぼう。
想像してごらん。
つぶのように小さくて丸いじかんを。
ひとつひとつが寄り添い、
呼び合って、つながっていくから。
しらないうちに、ひらめくがじぶんができる。
私たちの「じぶん」は、共感の時つぶでできている。
I am you.(じぶんが相手)
出典・参照:蜂飼耳『夜の絵本・ルオーの贈り物』、Empathemian『共感の時つぶ』、以下のエンパレットなど