Empathemian「たなと」と「エンパシーム」

ティモシー・ウィルソンさんは、こう言っています。

人間には、無意識のうちにきちんと働く、潜在的な能力が備わっている。

「私たちは、ことばを意識レベルで理解しているのではありません。
相手が発する一連の音の流れを解析したり、奥行きのある世界の対象物をいちいち分析して、理解しているのでもありません。」

「意識的にアクセスできない心的な過程を「適応的無意識」(The Adaptive unconscious)と呼びます。
人間の能力には、意識して発揮しようとするとうまくいかず、むしろ流れに任せて身体を動かした方がうまくいくものがあります。
潜在的だけれども、意識して発揮するのがむずかしい力。
それは、知らないうちに働いていて、自分の行動にも影響している力です。」

「言語能力は、赤ん坊の頃に母親を始め、家族や周りの人が喋っている環境下、適応的無意識によって培われます。
「身体で覚えよう」とか「師匠の真似をする」とか「心を開いて受け入れよう」といったアドバイスは、実は、人間の潜在的な力「適応的無意識」を活かすということだったのです。
ものの見方や考え方も、ある文化・環境の中で、知らないうちに身につき、行動に表れるものです。
その事実を素直に受け入れ、時々省みることが、自分の行動を変化させるきっかけになります。」

適応的無意識を活かす。

エンパシームは、適応的無意識のふるまいを実際に起こし、その流れを途切れさせることなく記録し、後でそれを自らが振り返る方法です。
記録に写った自分のふるまいから、自分の適応的無意識のメッセージを推測する練習になります。
また、自然なふるまいそのものをおこす日々のプラクティスにもなります。

じぶんの自然な身体行為の中にあらわれる、意識で捉えられそうで捉えられない、意識と無意識のあいだの、ふちを捉え、それをとりだして利用できるようにしたデータ「エンパシーム」。

ふだんの生活の中に、無意識の力を取り出すための、小さな「行為の端々」がたくさんあります。
じぶんだけのために。そして、みんなのために。
最も身近な例は、あなたの発話です。
ひと筋の音声は、とても短い音素の連なりでできています。
意識することなく、自然に口が話している、という感じですよね。
エンパシームを使ってみてください。

Collect your liminal pieces.(無意識のふちをあつめよう)

「無意識の縁を広げる」

「じぶんを推測しながら生きている」

「身につけるしくみ ⑤ (表裏)無意識の縁を捉える Unlearning」

「じぶんとは、しかかり素材の集まり」

出典・参照:Timothy D. Wilson 『Stranger to Ourselves-Discovering The Adaptive Unconscious』

ティモシー・ウィルソン 『自分を知り、自分を変えるー適応的無意識の心理学』

吉田善一・石川英憲・坂口立考『無意識的な活動、視座に対する気づきを誘発する学生実習プログラム開発』(工学教育69巻(2021)日本工学教育学会)

Rikko Sakaguchi 「Philosophy Inspires Technology Innovation」(適応的無意識についての言及)

Timothy Wilson