ソクラテスは言います。
ただ生きるのではなく、よく生きよ。
よりよく生きたい願いはだれにでもあります。
それをどのように自覚し、表現するか?
よく生きるとは「上手に生きる」ことでしょうか?
汝
じぶんを知ることだ、というのです。
このことばは広く知られています。
では、じぶん自身を知るためには、どうしたらよいか?
Say you don’t know it.(じぶんが知らないことを、そのまま、知らないと言う)
知らないことを知らないと言う?
知ったつもりにならないこと?
それだけではありません。
「自分は知らないってことはわかっているよ」という「知識」を持つことでもありません。
いろいろ知っているつもりでも、じぶんは本質的には何も知らない。
そのことを、素直にうけいれ、それを心のより所にすることです。
そのためには、身のまわりのものごとに心をひらこうとするふるまいがいります。
だれとでもふれあい、むきあってみよう、と。
「無理してがんばる」ことではなくて、素直になること?
どうしたら、素直になれますか?
頭だけで考えていると、かえってむずかしくなります。
なぜかといえば、考えるということ自体が「わからない、知らない」を否定するからです。
まず、じぶんにむかって、「わからない」と声に出して言ってみることです。
声に出して、ことばを聞くことで身体に入ってきます。
じぶんを知るとは、じぶんは知らない、ということに気づくことです。
ソクラテスの「汝を知れ」とは、そういう意味だったのです。
Unlearn yourself.(知っているつもりになるのではなく、素直に受け入れることが学び)
出典・参照:プラトン『プロタゴラス』 『ソクラテスの弁明』、英語トレイル2 (37) Know yourself.