
Try the other way around. (反対向きにやってみよう)
ものごとには、二つの考え方があります。
原因から結果を考える。そして、目の前の結果から、その原因をたどる。
たとえば、すいかを軽くたたき、その音を聞いて、おいしいかどうかを見分けようとします。見えているのは、すいかの中身ではありません。聞こえてくる音を手がかりにして、中の状態を想像しているのです。
このように、結果から原因を推し量ることを「逆問題」と呼びます。(*注1)
「逆方向に考える」と言うと、むずかしく聞こえますが、私たちは毎日のように、この考え方を使っています。
⚫︎ 表情から、その人の気持ちを察する。
⚫︎ 部屋の様子から、そこで何があったかを想像する。
⚫︎ 果物の色や香りから、食べごろを見分ける。
どれも、見えたもの、聞こえたものを手がかりにして、その向こうにあるものを考えることです。
学校では、決められた条件や式から答えを求める練習を多くします。これは、原因から結果へ進む「順方向」の考え方です。
けれども、実際の生活では、答えが一つとは限りません。
それだけではありません。私たちは、原因と結果を反対にして、話をつくってしまうことがあります。
「忙しかったから、できなかった」と言います。けれども、別のことに時間を使った結果として、忙しくなったのかもしれません。
「勇気がないから、できない」と言います。けれども、やってみた結果として、勇気が生まれるのかもしれません。
「興味がないから、調べない」と言います。けれども、少し調べてみた結果として、興味がわいてくるのかもしれません。
原因だと思っていたものが、じつは結果だった。
結果だと思っていたものが、じつは原因だった。
私たちは、起きたことをあとから説明するとき、知らないうちに話をさかさまにしていることがあります。
だから、目の前の結果から原因をたどるだけでなく、そもそも原因と結果を取り違えていないか、向きを反対にして考えてみます。
「話が逆だったとしたら?」
そう問いかけることで、いままで見えていなかったことに気づけます。
「話は反対だった」と気づくことから、じぶんの見方やふるまいを変えるプラクティスが始まります。
さかさまに考えてみよう。それは、じぶんを知る向きを変えることです。
作(文・挿絵・声にだすことば・声):坂口立考
出典・参照:上村豊『逆問題の考え方』、以下のエンパレットノートなど
(*注1) 上村豊さんは、このように述べています。「すいかをたたいて、その音からすいかの味を推定する問題は、逆問題的。密度と音の高さの関係を法則とし、音の高さの観測結果からすいかのおいしさの原因である密度を推定する。ただし、これだけでは定性的な観察に過ぎない。すいかのおいしさの指標を数値として定め、その指標を音の高さから決定するパスを通し、「すいか美味計測器」なるものを考案するのは、逆問題。考案しても商品化する人がいないから工学者はやらない。また理学的に面白いことが発見できそうにないから、理学者も手を出さない。」
おもしろい指摘です。けれども、逆問題は、じぶんに当てはめると大きな力を発揮します。「じぶんは〇〇だった」「じつは話は反対だった」と気づくことが、日常にはいくらでもあるからです。エンパシームは、じぶんのふるまいを鏡のように映し出し、そこから、まだ見えていないじぶんを推し量るための場をつくります。
エンパレットノートは「さかさまに考えてみることで、気がつく」ストーリーのライブラリと言っても過言ではありません。エンパレットの検索で、ことばを入れてみてください。こんなにたくさん!というほど、さかさまの話があるのは?
「じつは、逆、反対、あかさま、うしろ、うつす、そもそも」などなど、試してみてください。
