Your voice becomes your face to others.(声はじぶんの顔になる)
声を聞くと、その人のイメージが浮かびます。
その人を知ると、思い出す時に、その人の声が聞こえる気がします。
記憶に深く刻まれることで、声とイメージが一体化するからです。
声のイメージはいつ形成されるのでしょうか?
端的な例があります。
はじめて電話で何かを予約する時。
相手の声を聞いてすぐに第一印象ができます。
呼吸3つぐらいの間に、かなり長続きする像がつくられるのです。(*注1)
なぜ、声とイメージは結びつくのでしょう?
こんなふうに考えるとよいかもしれません。
別々のものをつなげるのではなく、もともとつながっている。
「人間の声と顔のイメージ」は、強く結びついています。
そのような性質を育むように、人間は進化してきました。
音声言語と視覚言語。
後からそのように分けて言い表すこともできます。
でも、別々にあったものではありません。
音声とイメージが融合するところに言語が生まれ、人間は言語と共に進化してきたのです。
Voice is the soul.(声はたましい)
声の中にイメージがあります。
イメージの中に声のことばが宿ります。
大切な人を思う時。
大切なことを考える時。
じぶんの中に声が響くでしょう。
思い出すとは、イメージが声で聞こえてくること。
声がイメージになって現れることです。
インナースピーチ(内的言語)の働きは不思議です。
心の中で相手の声がじぶんの声になったり、じぶんの声で相手になったりします。
心はじぶんと他者がつながる空間。
相手とじぶんが入れ替わる時間。
その、心の真ん中に、肉声があります。
声の響きを感じて、心の中に声でじぶんの姿を形づくり、世界を創りだしているのです。
出典・参照:Anne Karpf『The Human Voice』、Lev Vygotsky『Thinking and speech』、Ben Alderson-Day and Charles FernyhoughInner Speech-Development, Cognitive Functions, Phenomenology,and Neurobiology』、以下のエンパレットなど
(*注1)L A McCoy 『The power of your vocal image』
インナースピーチ 心の中のことばを抽出する(1)思考を形づくる内語