Be helpful to others’ practicing.(相手のプラクティスに役立つこと)
エドガー・シェイン博士の著作『Helping』の冒頭に、こうあります。
「Helping(支援)とは複雑な現象だ。
役に立つ支援と役に立たない支援がある。何がちがうのか?
物事の内容よりもプロセスに、
または何がなされるかではなく、どのようになされるかに注目したほうが、うまくいくのはなぜだろうか?
「ある日、私は車を運転していた女性から自宅の外でこう尋ねられた。
「マサチューセッツ通りはどちらですか。」
目的地はどこなのかと尋ねたところ、彼女がボストンのダウンタウンを目指していたことがわかった。
そこで私は、あなたが走っている道はダウンタウンにまっすぐ通じているので、
マサチューセッツ通りに向かう必要はないですよ、と指摘した。
女性は何度も礼を述べた。自分が尋ねた道に行かされななくてすんだからだ。」
とても示唆的です。
私たちは、相手の側に立つことを忘れて、役に立たない支援をしがちです。
Helpingのエッセンスは、相手の側に立つこと。
本来、相手が目指すことにhelpfulであること。
日本語でも、ヘルプということばはよく使われます。
「ヘルプ=助ける」と言っても、代わりにすることではありません。
Helpingは、その人がすることを手助けすることです。
いえ、その人が目指す方向に向かって、手を差し伸べることです。
Be helpful to others here and now.(相手に付す今)
Helping=相手の役に立つ行為。
相手のプラクティスに役立つ補助。
相手を察して補助する働き。
エンパシーム英語トレイルも、この考えを追求します。
たとえば、「英語を習いたいんですけど、どうしたらいいですか?」という質問があったとします。
一般的には、こんな返事があるでしょう。
・〇〇学校があります、
・〇〇アプリがあります。
・〇〇の動画があります。
・〇〇を学習したらいいですよ。
シェイン博士の冒頭エピソードと似ています。
単に〇〇をしたらよい、というのは、おそらくヘルピングにはならないでしょう。
なぜなら。「それができるくらいなら苦労はない」からです。
でも、たずねる人も、どう質問すべきかがわからないものです。
それが「わかるくらいなら」そんなふうに質問はしないでしょうから。
したがって、相手が目指すはずの先を見て、質問を置き換えて考えます。
・英語を聞いてわかるようになりたい。補助して欲しい。
・英語で伝えられるようになりたい。Helpingが欲しい。
聞き取れるようになる英語のプラクティスを補助すること。
ここを原点にすると、相手の役に立たないことを減らすことが需要になります。
つまり、聞き取れるようにならない原因を取り除くヘルピングです。
また、プラクティス自体が実現し、継続するためのヘルピング。
・闇雲にやらないように
・いっぺんにやりすぎないように
・練習が完結するように
このように考えると、ヘルピングとは:
・相手を察して、配慮すること
・親身になって聞くこと
・役に立たないことは、促すこと
・そばに寄り添うこと
・そっと背中を押すこと、など
ということは、一度にわからなくても、だんだん、あわせていくことが大切。
エンパシームは、察して働くしくみを目指しています。
出典・参照:Edgar.H.Schein 『HelpingーHow to offer, give and receive help』、以下のエンパレットなど