Everyday is a bonus.(毎日生きていることがボーナス)
ショーンさんとの対話から。
真実のことばです。
肉声に包まれたメッセージがあります。(付記までごらんください)
They’re saying six months to a year, depending on how it takes, maybe more.
(残された時間は6ヶ月から1年。治療がうまくいけば、もしかしたら、もう少し)
I’ve been a kind of outlier on this whole kind of process.
(統計的にぼくは珍しいタイプだった)
I’m living longer than anybody expected, so I’m hoping that we squeeze another couple of years out of this.
(だれの予想よりも長く生きているんだから。この調子でもう何年か押し込められたらな)
Yeah, just trying to stay active and..
(活動的に過ごしてるよ)
It seems like a place we could just kind of like stop trying in so many ways.
(いろんな理由であきらめざるを得なくなるような所にいるという気がする)
Even down to just like, brushing your teeth and flossing, right, flossing I need right now is cavity.
(細かいこと、たとえば歯磨きとかフロスをちゃんとする。虫歯にならないように)
Right? So you know, just taking care of yourself at every level, but you can..
(だから、あらゆる細かい部分で身体をケアするんだ。そうすることで)
kind of, extend longevity of, you know, everything else, so.
(”人生”以外の、身体の各所の寿命を伸ばせる。そうすれば。。)
Life is so good right now, otherwise.(いま、こうして生きていることがすばらしい)
That’s the irony of like this whole situation, and..
(この状況全体が皮肉なことなんだけど)
You know if I stop to think about how unfair it is..
(人生は何て不公平なんだ、なんて考え出したら)
It’ll just drive me crazy, but like..
(気が狂っちゃうよ。でもそうじゃない)
Life is so good right now otherwise, I mean..
(いま、生きていることがすばらしいんだ。だって。)
Inspire hope.(ねがいを生きよ)
I think life is like poker, you just have to play the hand which you’re dealt with.
(人生はポーカーのようなもの。配られた手持ちカードでプレイするしかない)
You can win with a pair of twos.
(2のワンペアでも勝てる)
You can do it, you can boss your way through but..
(それで押し通すこともできる)
People who win aren’t the ones who have the best hands.
(勝負に勝つ人が、いちばんいい手を持っているわけじゃない)
We just got really bad hand.
(ぼくらの手はひどかったけどさ)
I think we play it the best we can.
(最善を尽くしてプレイしていると思う)
Yeah, so, another week of radiation..
(来週は、次の放射線治療が待っている)
It’s hard to walk on a straight line sometimes now, so..
(まっすぐ歩けない時があるからね)
Hopefully I’ll get some of the functionality back after the radiation. It’s fun to be able to go biking, yeah.
(治療で身体機能の一部が戻ってきてくれたらいい。マウンテンバイクで出かけるのが待ち遠しいよ)
You’ll always be in our hearts.(いつも心の中にいるよ)
最後のクリスマスを過ごした後、ショーンさんは静かに永眠しました。
エンパシームに残されたショーンさんのセリフ。(*付記1)
心の中にいつも、手の中にいつも、生きている肉声。
いのちのことば、真実のことば。(*付記2)
出典・参照:A Conversation with Sean and Karen, Oct. 22, 2022
(*注1・付記)ショーンさんは、エンパシーム・英プラの応援者でした。この会話も生の事例として、ショーンさんが残してくれたものです。外国語がなかなか聞き取れるようにならない理由は、じぶんの発話(母語)との音、そしてリズム(微細な時間の区切り感覚)のちがいが大きく影響しているのに、それを知らないままでいるから、という話をしたことがあります。聞こえるようになるにはステップがいりますが、聞こえるようにじぶんで発話出力をすることが基本です。「なるほど、そういうことなのか。基礎をつくって、それから現場に即したプラクティスがいるんだね。」と、ショーンさんは言いました。「それにしても、じぶんのセリフがそんなふうに速く聞こえるなんて、考えたこともなかったよ。」と。何語でもネイティブスピーカーはふだん、無意識的にことばを紡ぎ出していますから、じぶんの発話のスピード(やその変化)について気づく機会はありません。
ぜひ、音声を聞いてみてください。セリフはほとんどが日常のよく知っている単語からなります。が、聞き取れないフレーズが所々にあるでしょう。エンパシームにおさめられたこの会話は、生の英語の「弱く、短い音の連なり」を如実に表しています。英語が聞き取れないのは、「速い」からではなく、音が(つまり、単語を表すまとまりの1音節が)「短い」のです。「ものすごく短く、弱い音(0.1秒以下の音節)の連なりがあるからです。意識では追いつけません。また、意識で追える長く強い音節は、日本語のモーラリズムがあてはまって「空耳」(カナモジ音)で聞こえたりすることもあります。英語のリスニングのテストはできても、生の現場では聞こえないのはなぜか?いろいろなノイズやアドリブの音のある、現実の場、発話のパターンに慣れていない(一度もプラクティスしていない)からです。たくさん聞く練習をしてもボトルネックを抱えたままではなかなか聞こえるようにはなりません。聞こえないパターンを知り、相手のセリフのリズムにあわせて聞くという、身のこなし(つまり、運動能力)をつける必要があります。
そしてもちろん、相手の気持ちを想像することです。私たちは物理音だけを聞いているのではありません。ことばは脳に出し入れをするメンタル(知覚的)な「察するプロセス」なのです。英語を何度も聞いてテクストと比べてみてください。くりかえしているうちに、聞こえていなかった音・フレーズがあることに気づけるでしょう。物理的な音が聞こえないのではなくて、(すでに別の言語=母語の音・リズムを身につけているために)うまく受け取れない理由があるのです。言語にとって、リズムは決してオマケではありません。リズムは細やかな時間感覚を埋め込んだ、心の受け皿であり、ことばの出力装置であり、言語・コミュニケーションの根幹をなすものです。エンパシームは、そのツボを体系化し、ボトルネックを解消するメソッドを提供します。(以下の動画をごらんください)ショーンさんの残してくれたプラクティスのメッセージも、すこしずつ、聞こえるようになります。
(*付記2)日常の平易なことばに真実が宿ります。ショーンさんは、胃がんを克服した後、元気に回復し、子宝にも恵まれました。が、今度は脳腫瘍が訪れました。余命を宣告されてからも家族とともに精一杯生きる姿が、平易なセリフに映っています。Life is so good, otherwise. というセリフの otherwiseとは、それ以外は、という意味ですが、「幸せな人生とか不運な人生」といった観念に縛られているといちばん大切なことに気づかない、というニュアンスがこもっています。身体をいたわって、生きているということを実感してわかること。生きるとは、生きようとする心、生きていること全体。ショーンさんが身をもって残してくれた、いのちのメッセージです。
大切なことばをくりかえして生きている [ジョンさんのエンパシーム]