To know the way, we go the way.(道を知るには、道をゆくこと)
ベンジャミン・ホフ作『The Tao of Pooh』(タオのプーさん)。
クマのプーさんが、老荘の思想をやさしく説く作品です。(*注1)
こんなことばがでてきます。
A bird can fly, but a fly can’t bird.
「トリはハエる、ハエはトリできない」って?
鳥は飛べるが、ハエはbirdできない。
英語のflyには、飛ぶという動詞とハエという名詞があります。
一方、トリ (a bird) という名詞はあっても、birdという動詞はありません。(*注2)
なので、ことばであそんでみたわけです。
ことばあそびは、おもしろいですね。
楽しい気持ちになれます。
「あそぶ」には:
(1)自由な心持ち(ゆとり・たのしむ)
(2)自在にできる(うまくなる)
まず(1)。そして(2)へ。
少し、プラクティスがいります。
やってみることです。
あそぶとは「道をゆく」こと、そのもの。
To know the way, we do the way.(道を知るには、その方法でやってみること)
いっしょに、あそんでみましょう。
まねてみることからです。
いつでも、どこでもできます。
たとえば、シャワーを浴びながら、おなじパターンで思いうかべてみましょう。
A bear can fish, but a fish can’t bear.
(クマは魚を採れるが、魚はガマンできない)
とにかく、ことばに出してみて、後から考えます。
「ひとつのことばに名詞と動詞があるものを探す」というと作業がいりそう?
いいえ、大丈夫。コツがあります。
目の前のもの(名詞)を、動詞として言ってみればよいのです。(*注3)
A cook can book, but a book can’t cook.
(料理人は予約できるが、本は料理できない)
クイズ方式で「こたえ」を探そうとすると、うまくいきません。
パズル方式で、やってみてから考えればうまくいきます。
なぜかといえば、こたえは探すものではなく、じぶんでつくるものだからです。
「ハエはbirdできない」を、もう少し、あそんでみましょう。
日本語を駆使して、こういうのはどうでしょう?
鳥は
インスタ映えする鳥の写真を、ハエには撮ることができない。
ところで、鳥は飛べるとはいっても、飛べない鳥もいます。
たとえば、ペンギン。
一方、すべてのハエは飛べます。
飛び回る(fly)からハエ(a fly) と命名されたのでしょう。
では、ハエはbirdできない、とは?
すべての鳥がbirdできるとすると、birdするとは、どんなことを言うのでしょう?
きっと、歌うことでしょうね。
A bird doesn’t sing because it has an answer. It sings because it has a song.(鳥が歌うのは、こたえがあるからではなく、歌があるから)
このことばも、まねてみると:
You don’t play because there is an answer. You play because it’s fun.(こたえがあるから遊ぶのではない。たのしいから遊ぶ)
たのしいこと、好きになることが、あそぶプラクティスです。
出典・参照:Benjamin Hoff『The Tao of Pooh』、以下のエンパレットなど
(*注1)ディズニーのキャラクターとしても有名な、アラン・ミルンの原作「Whinny The Pooh』クマのプーさん (Whinny The Pooh)が登場して、老荘の思想を説く(別の)作品です。
(*注2)辞書で調べると、bird という動詞はあります。「野鳥の観察をする」という特殊な文脈なので、一般的ではありませんが。
(*注3)やさしい単語、一音節の名詞は、たいていの場合、動詞にもなります。というより、それはもともと動詞だったものが名詞になったのです。あるいは、動詞と名詞がいっしょに生まれたことば。日本語のトリも「とぶ」からです。ツメは「つむ」と同じ語源、というように。hand(手、手渡す)、face(顔、向き合う)、look(体裁、見る)、 head(頭、向かう)、pin(ピン、刺す)、touch(感触、ふれる)など。こんなふうに、言ってみてから、考えてみると驚くほど、多くの単語が実は名詞であり、動詞であることがわかります。
歌があるから、うたう。(上のことばのストーリーです)
このほか、エンパレット検索で「あそび」「あそぶ」といれてみてください。