Take 15 seconds to savor.(15秒かけて、味わう)
こどもの心を育む活動を広げるレネ・ジェインさんは、こう言います。
「脳はスポンジです。ネガティブな体験や潜在的な恐れに対して、ポジティブなことよりも容易に吸収する傾向があります。
脳神経科学の研究によれば、少なくとも10-15秒ぐらい、よいことに浸ること、味わうことで、このバイアスを克服できるそうです。
子どもたちが、よいものを味わう手助けをしましょう。」(*注1)
こどもたちに限らず、大切な話ですね。
「味わう」ことを忘れてしまっている時がありませんか?
味わうとは?
ひと口ずつ、ゆっくり。
身体全体のセンスを生かして。
口に入れる前から、飲みこんだ後の余韻まで。
終わるまで待つことです。
15秒という時間。
どんな時間でしょうか?
呼吸の3つ分ぐらいのじかん。
その間、脳が「味わう」働きをしているー
じつは、脳の働きは、リアルタイムではありません。
たとえば、何かを見ている時の視覚情報。
ある研究によれば、リアルタイムに入ってくるのではなく、脳が15秒ごとに平均化処理をしています。(*注2)
15秒ほどの括りで、処理している!
ということは、過去をふりかえっているというより、ふりかえりそのものを、つくりだしているのですね。
だから、15秒という「じかん」を味わっている、と思えばよいかもしれません。
ふりかえりは、味わうことです。
数秒ごとに、ていねいに、待つことさえ身についていれば、自然に味わえます。
ところで、毎日の「毎」には、こんな意味があります。
(1)「毎」=ひとつずつ、毎日
(2)マイ(my) = じぶん自身の
(3)マイクロアクション(小さなふるまい)
ほんのすこし、意識を「小さなふるまい」に向けること。
静かにすわる、という小さなふるまい。
ひと息ごと、ひと声ごとの区切りをつくる、という小さなふるまい。
まさに、マイクロアクションです。(*注3)
それが数秒単位の括りをつくります。
あとは、しぜんに、流れに委ねて、無意識的に、身体が動きます。
私たちの日常の95%は無意識ともいわれます。(*注4)
残りの5%のうち、ほんの少しのマイクロアクションで、味わうプラクティスができます。
というのも、味わっている状態は無意識的な流れですが、その状態をつくる、小さな意識がいるからです。
Savor Life.(いのちを味わう)
じぶんにむけて、声に出して言っておきましょう。
わずか1秒のマイクロアクションで、味わうことがぐっと身近になります。
出典・参照:修養トレイルガイド、以下のリソース、エンパレットなど、
(*注1)Go Zen
(*注2)Mauro Manassi and David Whitney 『Change Blindness』
(*注3)マイクロ(Micro)は、100万分の1を表す単位です。比喩的に、全体に対して微細なものを指す時に使われることばです。1日という時間全体に対して、脳の働きは、その100万分の1にあたる、微細な時間で働いています。ひと声のセリフ(Seed)を出す時に、音つぶの連なりが変化していきますが、その微細な変化は、文字通り、マイクロアクションです。
(*注4)ティモシー・ウィルソン博士の研究 Adaptive Subconsciousに言及したエンパレット: