Good morning.(いい日でありますように)
大和和尚との対話から。
立考:英語にこんな表現があります。Have a good one.
大和:あいさつのことばですね?
立:はい。Have a good day.とおなじです。
大:なるほど。
立:相手に、いい日をねがうことば。
大:
立:そうですね。
大:相手に近づいて、じぶんの心を投げ入れることでした。
立:あいさつとは、ねがいをことばにして相手に投げかけること。
大:本来は、そういう心の行為ですね。
立:英語を始めると、Good morningは、おはようと習います。
大:Good evening=こんばんは。 Good night=おやすみ、と。
立:ええ。そうやって日本語にあてはめるだけだと、心が伝わらないですね。
大:Good morningは、どういう心ですか?
立:もとは、I wish you a good morning. です。
大:なるほど、それで、相手にねがいを投げかける、と言ったのですね。
立:毎日頻繁に使うことばは短くなりますが、本来、そのような行為です。
大:相手に語りかけ、わかちあうことば。
立:ふれあう行為自体が、あいさつです。
大:英語の学習もおなじですね。そのようなセンスを養うこと。
立:ええ、スペイン語やドイツ語、多くのことばの、あいさつのコンセプトはおなじです。
大:それは、知っているだけではダメですね。
立:あいさつのことばを身につけるには、あいさつをすること。それは心の行為(センス)なんです。
大:道元禅師 『正法眼蔵』のはじめにでてくることばです。
立:知識を体験化せよ、というかんじでしょうか?
大:身をもって、ふるまい、行為を形にすること。
立:知識をうることは大切ですが、なかなか役に立てられないものです。
大:ことばを活かすには、そのことばを行為することしかありません。
立:逆に言うと、行為をことばで抽出して確かめることですね。
大:そのとおりですね。自覚することで行為となります。
立:自覚に到るには?
大:あなたがいつも言われるように、プラクティス以外にありません。
立:実際に、そのつもりですること、続けること。
大:私も新しい気持ちで、Good morning.と言ってみますね。
立:いいですね。ところで、冒頭にはった写真を見てください。
大:花の中に飛び込んできたハチですね。
立:その光景をずっと見ていたのですけれど、Good morningということばを交わしているようでした。
大:ほお。その場の共感がことばになる。そんな体験ですね。
立:私たちにはそのような、自然の力があります。
大:学知にあらず。このことばは、じぶんを包む世界の力を思い出させてくれます。
The proof of the pudding is in the eating. (プリンの証明は、食べること)(*注2)
何事も、じぶんでやってみれば、かならず、何かがわかります。
英プラ なりきりコース Seed Pattern Practice (6) That makes sense.
出典・参照:「大和和尚との対話」(坂口立考編集)、『英プラガイド』、『毎プラガイド』、道元『正法眼蔵』「弁道話」
(*注1)ほかにも、道元・「正法眼蔵」のことば、大和和尚との対話を、エンパレットで検索してみてください。
(*注2)ミゲル・デ・セルバンテスのことば。オリジナルのことばは:
Al freír de los huevos lo verá.(玉子を焼く時に、わかるよ)
ちなみに、玉子を焼くとは、フライパンに油をしいて、目玉焼きをつくることです。『ドン・キホーテ』の作者として知られるセルバンテスは、16世紀のスペイン人。日本では織田信長の時代です。その時代に、目玉焼きのおいしさが浸透していたとは。