Give it a tiny moment.(小さな
日常、よく使われる表現を挙げてみます。
・合間(あいま):連続した出来事の間の、短い区切れ。
・間際(まぎわ):まさに起ころうとしている、ギリギリの時。
・絶え間(たえま):途切れる時、途絶えた時。
・間合い(まあい):タイミング、機会。
・間を取る (適切なタイミングをはかる、ほどよい長さの時間を置いて行動する)
・間を入れる(適切なタイミングを取って、話す、行動する)
・間にあう(用が足りる。物が足りる、決まった時刻に遅れない)
・間が抜ける(調子がずれる、大事なことが抜け落ちる、ぼんやりする)
・間が延びる(間隔があいて、しまりがなくなる)
・間が悪い(タイミングが悪い、運が悪い、きまりが悪い)
時間的な間[ま]をつくること。
適切な、ほどよいタイミングで。
ふだん、私たちは、急ぐことに慣れています。
というより、急がなくてはいけない、ものごとを速く処理することに、気を囚われています。
一方、気持ちをあせらせ、頭の中でスピードをあげても、身体はそのようには動きません。
むしろ、身体の力を抜いて、楽に動けるように、じぶんの状態をしむけることが大切です。
・Calm down.(気を楽に。身体の力を抜く。静穏の状態をつくる)
・Slow down.(いったん、スピードを下げる。ひと息、待つ)
・Break down.(ものごとをかみくだいて、じぶんで考える)
日常の私たちにとって、いちばんはじめに大切なことは、小さな間をつくることです。
といっても、具体的に、何をどのようにしたらよいのでしょうか?
あえて、ひと言で、端的に言ってみます。
それは、息をはきだすことです。
え? 息をはく?
何もしないでも、呼吸しているのだから、息をはいているはず。
そう思いますよね。
でも、ちがいます。
たしかに、しぜんに呼吸はしていますが、ふだん、息を「吐き出し」ているわけではありません。
Breathe out.(息を吐き出せ)
しずかに、ゆっくり、息を吐き出すことです。
しずかに吐くと、どうなるでしょうか?
ふだんの、一度の呼吸の長さが倍になります!
一般に、私たちは、一度の呼吸に4秒から5秒くらい、かけています。
もちろん、無意識のうちに、しぜんに身体が動いています。
息をしずかに吐くだけで、一度の呼吸が10秒以上になります。
その時間が、間[ま]になります。
これは、身体で、間[ま]をつくる、最も、しぜんで、基礎的な方法です。
「気持ちを落ち着けるためには、深呼吸」と言われます。
大切なことは、息を思い切り吸ったり吐いたりすることよりも、吐き出すことです。吐いて、小さな間をつくること、その時間をかけることです。
ゆっくり吐き出すだけで、しぜんに間[ま]をつくることができるのです。
そのためには、静かな場に、ひとり坐ることです。
空間的な間[ま]をつくる(身の周りがスッキリ)ことで、時間の間[ま]がつくりやすくなります。
呼吸は、呼気(吐き出す息)と、吸気(吸い込む息)でできています。
しずかにアウトプットすることで、次にその分が、しずかにインプットされます。
アウトプット、呼気が先です。
深呼吸だといって、思い切り、急激に吸い込むと、出る時も勢いよく出てしまいます。
しぜんに、ひと息単位のじかんをかける行為が、間[ま]をつくる秘訣です。
呼気は、
静かに、ゆっくり吐き出すことで、間[ま]を呼び入れている、すなわち、つくりだしている、と捉えることもできます。
ちなみに、英語では、息に関わることばで、心の働きを表すことばがあります。
・respire(呼吸する)息を出しいれする。
・inspire(ひらめかせる)息を吹き込むように。
・aspire(ねがう、抱負をもつ)息を吹きかけるように。
ほどよい間隔とか、適切なタイミングと言われても、漠然としていてよくわかりません。
じつは、私たちは、心も身体も、いちばんのものさしとなる、大切な宝物が備わっているのです。
息によってつくられるもの。
それが、声であり、間[ま]であり、姿勢です。
小さな間[ま]をつくることによって、そのくりかえしが「姿勢」になっていくのです。
次回のエンパレットでは、さらにもう一段掘り下げます。
人と人との「あいだ」も含む、間[ま]をつくることの根源的な意味と、間[ま]に秘められた力と可能性についてお話します。
Breathe out.(息を吐き出せ)
出典・参照:『毎プラ てびき』、白川静『字訓』、大野晋・浜西正人『類語新辞典』
FESTINA LENTE ④ [ゆっくりすることで、深くなる学び](上達の秘訣)