
The whole is the soul.(全体が魂)
われらは生きている
つながりの中に
部分の中に
微細なつぶの中に
同時に、われらの中に
全体という魂が宿る
つちかわれた静寂
あまねくの美
すべての部分と分子が
わけへだてなく結びつけられている
その永遠なる全体と
われらは一体のもの
われらの存在を包む深い力
その至福にわれらはいつでも
ふれることができる
その力は
何に頼る必要もなく
つねに完璧
見るという行為と見られる対象を
見る者とみえる光景を
一体にする
太陽、月、動物、木々
われらはものごとを
ひとつひとつをわけてみるけれど
そのひとつひとつが輝く部分となる
全体こそ
われらの魂である
The whole is the soul.
We see the world piece by piece,
as the sun, the moon, the animal, the tree;
but the whole,
of which these are the shining parts,
is the soul.
(ラルフ・エマーソンのエッセイ『The Over-Soul』の一節より)
大いなる魂(Over-Soul)——わたしたちは、ひとりぼっちの小さな存在ではなく、もっと大きなものの一部であり、しかもその大きなものは、わたしたちの中にもいます。
たとえば、海と波を思い浮かべてみてください。波ひとつひとつは、形も大きさも違って、別々のものに見えます。でも、どの波も海の水でできていて、波は海から離れて存在することはできません。わたしたちひとりひとりは波のようなもので、全体は海のようなものです。その海が「部分の中に」「微細なつぶの中に」も、同時に「われらの中に」もあります。海は遠くにあるのではなく、一滴の水の中にも、ちゃんと海があるのです。
「すべての部分と分子が、わけへだてなく結びつけられている」——そうです。あなたの体も、空気も、木も、星も、もとをたどれば同じ物質でできています。世界は別々の部品の寄せ集めではなく、ひとつながりのものです。
「見るという行為と見られる対象を、見る者とみえる光景を、一体にする」——ふだんのわたしたちは、「わたし」がいて、「あの景色」があって、その間には距離がある、と感じています。でも、夕焼けにぼうっと見とれて、自分のことを忘れてしまう瞬間がありますよね。そのとき、「見ているわたし」と「見られている空」の境目は、ほとんど消えています。それこそが本来の姿に触れている瞬間です。
「ものごとをひとつひとつわけてみるけれど、そのひとつひとつが輝く部分となる」——私たちは、ものを分けて理解しようとしますが、分けたひとつひとつは、ばらばらの破片ではなく、全体の光を映している「輝く部分」です。太陽も月も、動物も木も、そしてあなた自身も、そのひとつです。
「全体こそ、われらの魂である」——あなたの魂は、あなたの体の中だけに閉じ込められているのではなく、世界全体とつながって、ひとつに響き合っている。その事実がある限り、あなたはどこにいても、ひとりではない。
力強い励ましのことば。
作(文・挿絵・声にだすことば・声):坂口立考
出典・参照:Ralph Waldo Emerson 『The Over-Soul』、以下のエンパレットノートなど
