Imagination takes you anywhere.(想像がどこにでも連れて行ってくれる)
グリネル大学長のレイナード・キングトンさんと。
レイナード:アメリカ中、どこの学長さんと会っても同じ話題になります。
最大のチャレンジは「偏り」。どうしてもSTEM(*注)に偏りがち。
学生は卒業後の稼ぎに目がむく。それから、多様性(Diversity)。
色々な背景、経済事情をもった、個性ある学生を含めて、ひとつの全体を構成するのが大きな課題。
言うのは簡単だが、なかなか大変ですよ。
立考:そうですね。サイエンスはスキルだけではありませんね。
サイエンスの心、つまり人間の心を養うことですね。
レ:そのためにはできるだけ、いろいろの学び、いろいろの学生、それらの体験がつながる必要があります。
立:日本では明治の初め、福沢諭吉が大学を創立するとともに、多くの著書を記しました。
先日、祖父の遺品に、当時のサイエンスの本を見つけたんです。
「温気の事。どんな物も熱すれば膨張し、冷やせば収縮する。自然界にあるものはみな、熱の恩恵を受けている。」「空気の事。空気は世界を取り巻き、海のようである。空気はあらゆるところに広がり、空気の満たないところはない。」
熱の恩恵とか、空気の海とか、そういうふうに、目に見えない物事に「共感のまなざし」をむけられることが、サイエンスの心を養うのだと思います。
レ:まさに、リベラルアーツとは、そういうことだね。
立:これ、日本語で「たなと」(*注)と名づけたんですが、ただ単に、木の中に「テクノロジーをつめ込むこと」ではないんです。
人間の自然なふるまい (act)をみちびくような流れを、人間とキカイが一緒にできるようにすることです。
かたち、手ざわり、アルゴリズム。人間の作法を共感で結ぶことなんです。
サイエンスも、共感のまなび。
Science is deeply imaginative.
出典・参照:『訓蒙・窮理図解』」、A Conversation At Grinnell College.(2017.8)、坂口立考『円了学舎』
(*注)STEMとは、サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マテマティクスの略。
(*注)「たなと」は、手のとも、たなごころの徒。ふれあうもの。abot (A Being of Touch) の日本語。