ヘンリー・ソローは、こう言いました。
Slow are the beginnings of philosophy.
ゆっくりすることが、哲学のはじまりである。
Wisdom does not inspect, but behold.
知恵とは、調べるのではなく、じっくり見ること。
We must look a long time before we can see.
長く長く見て、見えてくる。
木、花、葉、土、水、空気,そしてあらゆるいのち。ひたすらよく見ること。よく見るとは、手でふれ、五感で感じ取ることです。
匂いをかぎ、味わい、見て、聞いて、触れること。そうして、別々の事実を結びつけることです。学校で「水は山から川へ流れている」とならった時のことが、思い出され、結びつくこと。自然の中で働いている法則に触れることです。
ソローは、このように説きます。
「われわれは、推論したり演繹したり、数学を哲学に適用することによって学ぶのではない。」
直接的にふれあい、共感することによって学ぶ。
はじめに共感があるのですね。そこから、体験を深め、自然について、より深く繊細になること。そうした後で、いろいろな知識も結びつき、学ばれるのです。 野原、森林、自然の営みのあるところを歩くことそのものが、学びの原点、哲学のはじまり。出典・参照: Henry D. Thoreau 『Natural History of Massachusetts』