「考えるための姿勢」というテーマで考えてみます。のびドラ風に。
ドラえもん:のびちゃん、人間は「どこで」考えてると思う?
のび太:頭の中でしょ。
ど:じゃ、知性は「頭の中に」あるのかな?
の:そうじゃないの?
ど:実は「動き」の中で考えるんだ。アクションによって外界との相互作用ができる。そこで考える。
の:でも、考えているのは、頭でしょ?脳みそで。
ど:脳もその一部。でも、体があって、動きがあって、環境とやりとりがないと、考えることがないよ。
の:じぶんの体を使わないと、わからないってこと?。
ど:そう。自分中心じゃなくてさ、環境にいることで考えられるんだ。だから、体の延長となる道具も思考のうち。
の:だからドラえもん、いっぱい道具があるんだね。
佐々木正人さんは、こう言います。
「道具を使うことによって、われわれは環境の性質を引き出している。言葉・記号、暦も、道具。たとえば、「月の満ち欠けが周期的に起きる」という情報が、農耕活動を促したように。声も道具。呼び声、掛け声で、それによって、活動が促される。」
「見えている世界は、視覚ー運動系の所産である。われわれの知覚世界は、アクションの可能性によって情報化・分節化している。」
「人間は頭で考え、考えていることを行動する」という見方を反転させると世界が違って見えてきます。
ジェームズ・ギブソンは、環境との相互作用の性質を「アフォーダンス」(affordance)と名づけました。
椅子にすわることも、全身と椅子の相互作用です。
ものごととじぶんの間にアフォーダンスがあるから、考えたり、行動できるのです。
姿勢はアフォーダンスを引き出す力。
自然・環境と人間は協働して、じぶんの行為を引き出し、助けているのです。
ありとあらゆるところに、アフォーダンスがあります。
・椅子はすわることをアフォードします。(椅子があるからすわれる)
・階段は登ることを
・橋は渡ることを
・道は歩いてゆくことを
・紙は書くことを
すでにあるものだけでなく、つくりだすこともできます。
たとえば、動作のもとになるもの、それは姿勢です。
作法によってある身体的な姿勢をつくることは、アフォーダンスを引き出す力になります。
静かにすわり、たなとを手にそっとのせるだけで、内省の場をつくります。
エンパシームをひらくだけで、静穏の場をつくり、じぶんのことばを紡ぎ出す流れをつくります。
Sit still, breathe out. It makes you calm.(静かにすわり、ひと息はくと、落ち着ける)
「たなと」とつくるアフォーダンス、姿勢についてのエンパレット。
エンパレットで「姿勢」を検索してみてください。
出典・参照:佐伯胖・佐々木正人 『アクティブ・マインド』、ジェームズ・ギブソン『生態学的知覚論』、『毎プラガイド』
相手と共に紡ぎ出すことば (身のまわりの時間と空間のアフォーダンスによって)