Empathemian, Rancho San Antonio Preserve

There is no path, the path is made by walking.(はじめから道があるのではない。歩くから道ができるのだ)

スペインの詩人、アントニオ・マチャードの『Caminante』より。

Caminanteは、道をゆく人。
Traveller(旅人よ)といった訳語があてられていますが、Caminoは道、Caminanteは、道を歩む人という意味です。

道ゆく人よ、道が前にある、のではないんだよ。
歩くことで、はじめて、道ができるんだ。
前にむかって歩く。そして後ろを振り返る時、小道が見えるだろう。
そこにじぶんの足跡ができている。
ただ、その足跡をもう一度踏もうと思っても、それはできない。

道ゆく人よ。それは、じぶんです。
じぶん自身に語りかけています。

「その道とは、もう一度踏みたくても踏めない、たった一度の足跡のことだ」ということばには、切実な響きがあります。
でも、「人生は一度きり、刻々と時間は過ぎ去る」という意味ではありません。

たしかに、過去の体験そのものをやり直すことはできないでしょう。
そもそも、「過去」とは概念です。
過去というものがどこにもあるわけでありません。

過去にもどるのではない。
いつもあたらしく、後からさかのぼって足跡をつくっている。
そう考えることもできます。

私たちは、思い出すことができます。
想像することができます。
心の中に、たくさんの人、たくさんの声、たくさんのことばが生きています。

それは、「過去ー現在ー未来」という直線ではなく、
刻々と生まれる瞬間でつながった、らせんのような道です。

じぶん自身が、caminante(歩む人)である。

じぶん自身が、camino (道)そのものである。

出典・参照::Antonio Machado 『Poesías Completas』、坂口立考『海の宮』エッセイ「マインドトレイル」、以下のエンパレットなど

エッセイ『マインドトレイル』(2012)全文PDF

Essay MindTrail (2012)PDF

「習慣:いちばん肝心なこと ⑧ みちゆくときよ」

「習慣は、小さなしくみ みちゆくときよ」

心の地図を歩いている(3) [トレイルの楽しみ]

「Count」(動画)

Antonio Machado