Empathemian 『Rainy Feet』

Words seed your view.(ことばが、見方のタネをまく)

雨になった足。

海になったスニーカー。

こどもの頃、雨が降って水たまりが洪水になると、それだけで高揚した。

長靴をはいて水たまりに入ると、それだけで興奮した。

夢中の果て、長靴の中も海になった。

あの感覚が蘇える。

一度、浸ってしまえば、ああ、楽しい。
浸っているから、うれしい。

両足は豪雨。
スニーカーは大海。

A word can change the scene.(ひとことが、景色を変える)

雨は、空から降ってくるもの。
足は、じぶんの身体。

ふたつは、別々。

でも、「雨になった足」と言った瞬間に、変わる。

雨は、もう降ってくるだけではない。
足は、もう雨に濡れているのでもない。

ひとたび、声にすると、世界が変容する。

雨が、皮膚になり、
足が、音になる。

「海になったスニーカー」と言った瞬間。

海は、もう遠くの世界ではない。
スニーカーの中に、海があり、じぶんがいる。

ことばは、ものとものの境界を動かす。

いつもの世界に、なかった景色が現れる。
じぶんが、その景色になっている。

一度言ってしまえば、ああ、おもしろい。
ことばに浸っているから、楽しい。

作(文・挿絵・声にだすことば・声):坂口立考
出典・参照:以下のエンパレットノートなど