浜までは海女も蓑着る時雨かな
(浜までは あまも みの きる しぐれかな)
江戸時代の俳人・滝瓢水(たきひょうすい)の読んだ一句です。
これから海に潜る海女さんが浜を歩く光景。
雨に濡れないように、蓑を着ているのです。
これから海に入るのですから、すぐ身体は濡れてしまいます。どうせ濡れるのに蓑を着るなんて。
この俳句に映し出されている光景は、それでもじぶんの身体をいたわる海女さんの姿に、一瞬 ハッとしたこと、そしてじんわりと、共感のまなざしを抱いた様子です。
「どうせ濡れるんだから」じゃないんだな。 このわずかなひとときに、じぶんは海女さんの気持ちになった。
生きていくことも、これとおなじことなのだー
海女さんはきっと、そんなことを考えて歩いているのではないだろう。
いつも、そのようにしているから、身についている。
考えてふるまうことはできない。
だから、蓑を着る海女さんのようでありたい。
何の変哲もないような、ひとときのじかんに、共感の素があるー
小さく、ていねいにふるまう時に生まれる心。
遠くから、やさしくみまもる時に生まれる心。
What you see is how you feel.
「All You Need IS Love 誤解を超えて (3) 修証一如」
出典・参照:滝瓢水・宝蔵寺の句碑、以下のエンパレット