Empathemian 『What is AI, really?』

What is AI, really? (ほんとうのところ、AIって何だろう)

AIって何?

あなたは何と答えますか?AIって、ChatGPTとかGeminiとかでしょ?そう答えてしまいそうですね。

AIって何だろう?じぶんで考える間もなく、あなたは、すぐAIに質問してしまうのでは?

そして、それぞれのAIは、こんなふうに答えるかもしれません。

⚫︎ChatGPT: AIとは、人間の質問や文章を受け取り、学習した大量のパターンをもとに、もっとも自然で役に立つ答えをつくるしくみです。考えているように見えますが、実際には入力を理解しやすい形に変え、次にふさわしい言葉を予測しています。

⚫︎ Gemini: AIとは、文章、画像、音声、動画などの情報を読み取り、それらの関係を見つけて、答えや提案を返すコンピュータのしくみです。検索や文章作成だけでなく、さまざまな情報を組み合わせて考える手助けをします。

⚫︎ Claude: AIとは、人間の言葉を受け取り、その文脈や意図を推測しながら、できるだけ役に立ち、安全でわかりやすい応答を返すシステムです。人間のような意識はありませんが、対話を通して考える手助けをします。

⚫︎ Copilot: AIとは、人間の作業を助けるために、情報を整理し、文章を書き、計算し、アイデアを出してくれるデジタルな相棒です。特に仕事や勉強の中で、必要な作業を早く、正確に進めるために使われます。

なるほど。でも、こう聞こえませんか。

⚫︎ ことばを入れると、ことばを返す機械?
⚫︎ 質問すると何でも答えるコンピュータ?
⚫︎ 高速で答えを探すソフトウェア?
⚫︎ 画像も文章もコードもつくる道具?

AIは魔法の箱なのでしょうか。
ことばを入れる。内部で変わる。ことばが出てくる。

この「入力 → 変換 → 出力」という捉え方で、AIは違って見えてきます。

このエンパレットシリーズでは、千代田中学校・高等学校で行っている「共創AI 英語サイエンス&アートラボ」で、生徒たちと話している内容を紹介します。

中学で習う関数から出発して、ベクトル、行列、確率、学習へとつなげながら、AIに何ができ、何ができないのか、それはなぜなのかを考えます。AIを使うだけで終わらせず、じぶんの声、ふるまい、プラクティスと結びつけて、AIとともに学びのしくみをつくる。そこに、共創AIの入口があります。

AIは、巨大関数

① 「書きことば」を出し入れする機械

AIとは、人間のことばを受け取り、それを内部で数のまとまりに変え、またことばとして返す人工的な変換システムです。質問を入れると答えてくれます。相談すると、考えてくれているように見えます。けれど、AIが人間のように理解し、考え、感じているわけではなく、いったん数の形にして計算し、ふたたびことばとして出しているのです。

ここでいう「ことば」とは、基本的に書きことばです。音声入力もできます。でも、あなたの声音を直接聞いているのではありません。人間のように、声のトーン、間、リズム、息づかい、発音のくせを身体で聞いているのではなく、音声はいったん文字に直され、そのテキストがAIに渡されます。つまり、声で話しているように見えても、中心にあるのは、文字化されたことばの出し入れです。

② AIは、関数

端的に言うと、AIは、関数で。入力があり、内部の変換があり、出力があります。中学で習う関数「x を入れると y が出る」しくみですね。AIもまた、入力を受け取り、学習済みのしくみによって出力を返す関数です。ただし、それは一行で書ける単純な関数ではなく、非常に巨大な関数です。

AIは「答えをしまってある箱」ではありません。入力を受け取り、その入力に応じて内部で変換し、出力をつくるしくみです。別の言い方をすると、巨大な関数マシンです。

③ ことばを、ベクトルに変える

AIに入るものは、ひとつの数字ではありません。ことば、画像、音、行動、文脈などです。AIはそれらをそのまま扱うのではなく、比べたり計算したりできる数のまとまりに変えます。この数のまとまりをベクトル(vector)と呼びます。

ベクトルとは、ひとつの数ではなく、数の並び全体のことです。たとえば、

[0.12, -0.83, 1.45, 0.04]

のような数のまとまりです。このまとまり全体がベクトルです。その中の 0.12 や -0.83 は、ベクトルそのものではなく、ベクトルの成分です。(図形の矢印のことじゃないの?と思った人、じっくり読んでください)

たとえば、人の特徴を、身長、体重、年齢などの数値で表すことができます。同じように、AIはことばや画像や音を、多次元の特徴のまとまりとして表します。ベクトルを「特徴を運ぶもの」と考えると、わかりやすくなります。(vectorの語源は「運ぶもの」です)

ことばは、ベクトル空間の中に置かれます。ベクトル空間とは、ベクトルを置き、近い、遠い、似ている、関係がある、といったことを計算できる見えない空間です。意味を説明文として持つのではなく、関係の中の位置として扱うための空間、と言ってもよいでしょう。

こうやって見たら、AIも違って見える!② ことばの多次元空間」 へつづく

出典・参照:共創 AI 英語 サイエンス&アートラボ 2026、以下のエンパレットなど

共創AI と未知のじぶん:こうやって見たら、AIも違って見える
「入力→変換→出力」の原理 エンパレットシリーズ目次

こうやって見たら、AIも違って見える!❶ ことばの変換機
① 「書きことば」を出し入れする機械
② AIは、関数
③ ことばを、ベクトルに変える

こうやって見たら、AIも違って見える!❷ ことばの多次元空間
④ ことばの関係を計算する
⑤ 何を生成しているのか
⑥ 機械学習:自分で修正して、答えに近づく
⑦ 一般には強いが、個別は知らない

こうやって見たら、AIも違って見える!❸ 中学数学ですでに開いているAIの扉
⑧ AIの土台は、中学生の数学
⑨ なぜ、AIは魔法の箱に見えるのか

こうやって見たら、AIも違って見える!❹ じぶんにつなげると、見え方が変わる
⑩ 原理はある。でも、全過程は追いきれない
⑪ まとめ:AIは代わりに生きてはくれない

こうやって見たら、AIも違って見える!❺ じぶんとつなげる共創AI
補足A:共創AIは、あなたのデータから始まる
補足B:偶然出会ったことばが、あなたのふるまいになるまで
補足C: AIの先人