対話セットでインナースピーチ化

Inner speech is a phrase you can replicate in your brain instantly.(インナースピーチとは脳内で即座に再現できることば)

インナースピーチは頭の中で発話することです。
脳内で即座に再現できるできるセリフ。

なぜ「再現」というのか?
頭の中で、以前に聞いたことばを「音で再現」するからです。

以前に聞いたこと?
そうです。どんなことばも、もとをたどれば、はじめは外から入ってきます。

タネをまくのとおなじです。
空っぽの畑に、突然、花が咲いたり、実がなったりはしませんね。

そのようにして、私たちは生まれてからこのかた、
はじめは両親や兄弟、周囲の人の肉声をタネとして、
じぶんという畑にまいて、育ててきたのです。

ことばは音でできています。
空気に触れ、気づかぬうちに受け入れています。

くりかえされる声のことばは、
何度も脳内で再現されるようになり、インナースピーチになるわけです。

声の出し入れによって脳内に再現できるようなること。
それが母語習得の道筋です。

Empathemian, Rancho San Antonio, California

外国語の場合は?
第二言語でも、ことばの習得の原理はおなじです。

でも、現実の環境が異なります。
したがって、通常は別のルートをたどります。

身につけた母語(第一言語)をベースにして学びます。
文字で単語を覚え、意味を母語で理解する、という方法。

知識として学ぶわけです。
しかも、学校の科目として勉強するというイメージが強い。

知識だけではできないのは?
ことばは音声の身体運動だからです。

音でことばを処理することは、運動です。
肉声を聞いたり話したりする、脳と身体の運動。

運動の記憶がないと脳で処理ができません。
なので、そのプラクティスが必要です。

「運動として身につける」プラクティス。
ふだん日本語を話すような瞬間的な処理を、ある程度、外国語でもできるようになること。
それが、そのことばを使えるようになることです。

Vocalize and internalize your inner speech.(肉声でインナースピーチを身につけよう)

聞き取れるためには、声でに出すことが不可欠です。
聞くという現象自体が、脳内で声を出すことだからです。
その意味で「聞くことと話すことは一体」といって差し支えありません。

プラクティスの基本は「まねる」ことです。
まねるとは「手本を再現する」ことです。

と言っても、いきなりはできません。
それでよいのです。
まねようとすることです。

徐々に音とリズムを近づけていくことです。
じぶん流(日本語のカナモジで単語ごとに発音する)から、離れようとすることに意味があります。

それがインナースピーチ化のプラクティスになります。
第二言語のインナースピーチ化は、白紙状態の脳内に、ことばのタネをまき、
くりかえし、ふりかえり、育てていく継続的なプロセスです。

インナースピーチ化すると?
どのようなことができるようになるのでしょうか?

Develop your inner speech.(インナースピーチを育てよ)

言い換えると、何をどれだけやったら、どれぐらいのことができるようになるか?
その目安、イメージが欲しいですね。

エンパシームの英語トレイルでは?
セリフのやりとりをインナースピーチ化します。

ひとつセリフを覚えるだけでなく、
そのセリフを使って、やりとりのパターンを、いくつもつくれるようになります。

以下の動画をごらんください。

こんな会話です。
おなじセリフが3つの場面(パターン)で使われています。


♣️ 他のことは気にしないことだな。
♦️ うん、そうね。それが大事。


♣️ いちばん大切ものはさ、気力さ。
♦️ まさに、そう。


♣️ それだよね、まさに。
♦️ 何のこと?いい話?

That’s the thing.
「それだよね」「まさに」といったニュアンスのセリフです。

4つの単語(that, is, the, thing)がつながり、
いろいろな場面で使われます。

単語の意味、フレーズの意味を知っていても、
どんなやりとりで使われるかのパターンを知らないと使えません。

演劇やドラマの会話とおなじです。
セリフは、じぶんだけでなく、相手とのやりとりの中にありますよね。
じぶんのセリフしか知らないのでは、セリフを出せません。

あたりまえのようですが、とても重要です。
インナースピーチは、意識せずとも、対話形式なのです。

英語トレイル紹介動画(ことばのエッセンスは「つながり」)

The essence of language is interaction.(ことばのエッセンスはやりとりにある)

インナースピーチは「つながり」をもっています。
つながりを持っているからこそ、インナースピーチ化できる、とも言えます。

私たちの脳には「音を生成するしくみ」が備わっています。
ことばは、音で(音の運動で)記憶されます。
くりかえしプラクティスすれば、運動の記憶を定着させ、自在に出力できるようになります。

その時、相手のセリフもセットで再現できること。
それが習得の近道です。

ひとつでなくて、ふたつ一緒に?
そうです。そうすると、覚えるのがぐっと楽になります。

あなた自身、知らないうちに日本語を駆使できるようになりました。
そのことを少し想像してみてください。

音で覚える。
セリフのやりとりで覚える。
そうするからこそ、楽に覚えられるのです。

意外に思うかもしれませんが、実は、文字で覚えるにせよ、音も使っています。
思い出す時、使う時、ことばは「音の列」として脳内に出力されるのです。

英語は「勉強だ」という思い込みを捨てると、
道がひらけます。

セリフの脳内再現、インナースピーチ。
ひとつのセリフにつき、3つ以上のパターンを身につけられると、
かなり「使える」かんじがするはずです。

動画の対話をもう一度、聞いてみてください。
パターンの③は、テーマのセリフ”That’s the thing.”と(いきなり)声がしました。
すると「え?何のこと?」という反応が自然にでてきますよ。
それに続いて「何かいい話?」というセリフも。

”That’s the thing.”は、そのような対話の構図の中で、
インナースピーチ化します。
字面を覚えるのではなく、間にある空気感のような、
やりとりのパターンとして内面化されるのです。

インナースピーチ化とは「つながり」を受け止めるセンスなのです。
ひとつひとつ覚えようとすると、とても大変なことが、音のやりとりよって楽におぼられます。
母語はそのようにして、意識することなく、おぼえて、身につけてきたのですから。

インナースピーチ (9) 音を一列に生成する「運動の記憶」へもどる

出典・参照:『英語トレイル』miniプラ動画、および以下のエンパレットなど

インナースピーチ (8) 音とイメージの身体化を試す

パターンプラクティス That’s the thing.

パターンプラクティス Turn it around.

インナースピーチ(1)思考を形づくる心の中のことば

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