It’s all about the variation.(すべてはバラツキ)
上手い人と下手な人、何がちがいますか?
何事も、上手い人の動作には、共通点があります。
それは、ムリ、ムダ、ムラが少ないことです。
「ムリ・ムダ・ムラ」(3つのM)が、少なければ少ないほど、効率・効果が高まります。
(1)していることにムリがある:力みすぎ、じぶんのキャパを超えている
(2)していることにムダがある:余計なところに力がかかっている、じぶんの力をムダにしている
(3)していることにムラがある:バラついている、安定していない
「闇雲にがんばろう」とするのも、「楽チンにやろうとするのも」も、なかなか成果があがりません。
それは、3Mのそれぞれが多すぎるから。
そして、3Mの調和が足りないから。
私たちの日常行為のほとんどは、無意識です。
行為のはじめに、意識を傾けますが、動きが連続する過程は、自動的。
つまり、無意識です。
無意識的に動いている、身体の動き、脳の働き。
その過程は、身体の動きは100ミリ廟(0.1秒)以下の短い時間の連続です。
いちいち考えて、つまり意識的に、コントロールすることはできません。
脳からなんらかの指令を出しているのでは?
指令が伝わる時間がかかるので、まったく間に合いません。
また、あらゆる動きに指令を出すのは、あまりにも複雑で、不可能です。
身体運動をくりかえして、身体で覚えるしか、方法はありません。
頭でことばを覚える、といった時でも、実は、そのことばを処理する運動を脳のニューロンのつながりで記憶します。
プラクティスによって熟練してくると、筋肉運動の小さなブレが全体に波及しないように、動きを協調させられるようになります。
プラクティスが継続することで、くりかえしが蓄積され、ニューロンのつながりが増えていきます。
Less is more.(バラツキが小さくなれば、スキルは上がる)
Less バラツキ= More スキル
たとえば、こんな、実証研究があります。
・走り幅跳びのステップ(踏み切り手前の足のステップの調整幅のばらつきが小さい)
・タイピストやピアニストの指の動き(打つリズムは、速度が変わっても一定)
・射撃、弓道、アーチェリーの狙い(放つ前の的を狙う方向性のばらつきが小さい)
・野球の外野手の初動(打球音と同時に走り出す動きのばらつきが小さい)
すべての行為は、肉体的・物理的運動。
また同時に、生理的・精神的な過程です。
ことばの学習でもおなじことが言えます。
ことばを聞く、話す、読む、書く。
これらは、身体運動そのもの。
同時に、メンタルプロセス(脳の働き)そのもの。
じぶんの身体の外にことばを出す。
出すことによって、それを身体の中に入れ直す。
身につけることは、身体を使ってだすこと。
出典・参照:Alain Morin『Inner Speech』『Self-Awareness』、佐々木正人『アフォーダンス』、以下のエンパレットなど
相手と共に紡ぎ出すことば (身のまわりの時間と空間のアフォーダンスによって)
ルーティンのサイエンスとアート ① 作法がないとルーティンにはならない